映画で巡る世界紀行〜⑧タイ編
(不定期でやります!)
カンヌのパルムドール作品で話題になり、ずっと観たかった今作。レビューされているフォロワーさんも素敵なチョイスをする方々ばかりなので私も、、と観始めたのだが…。
うーん、、
正直、なかなかに不思議な雰囲気の作品だった。アジアの映画らしくかなり湿度が高い。。
ブンミという名前のおじさんのほのぼの物語と思いきや、又静かなトーンでずっといくのかと思いきや、突然SFなのか?と思わせる登場人物出現に心底驚く。。
え?これはまた一体…?
ブンミおじさんと義理の妹ジェンの話し方が終始優しい。。年配の人のタイ語にはふんわりした柔らかさがある。威圧的で怒っているように聞こえる言語もあるけれど、少し日本語に近いのかな。
なのだが、、
そこに昔と今の対比、歴史的な出来事の静止画挿入、など斬新な手法がそこかしこにぶっ込まれる。。
まさかのシーン、、そしてあの終わり方、、
タイ人の監督なので仏教の思想に基づく輪廻転生や森に宿る精霊→もののけ姫に出てくる猩々(猿のような架空の動物)のようにも思える動物の登場などにもきっと意味があり、紐解くと深いんだろうなぁと思わされる多重構造。
完全なスピリチュアルともまた違う感じで時々腑に落ちない所もあったので、監督のインタビューのみネットで調べて読んでみると…
アピチャッポン監督は私とほぼ同年代。それでやっと、なるほど〜と納得できた。
国は違えど昭和と平成を同じくらいずつ生きてきた私の感覚と、監督の古き良きものを愛する心と新しいものを受け入れようとする感性がピタッと合ったように思った。
”消滅しつつあるものを大事に表現したい”という監督の想いの詰まった作品だった。
観終わってから、今は亡き二人の祖母のことを想った。
悩み多き今を生きるヒントが、たくさん散りばめられていたように感じた。
最後に監督の言葉
理屈は捨てて
イメージや音が流れ込むのを自然体で受け入れて
鑑賞ではなく旅人のように体験する映画
これに尽きるのではないだろうか。
途中から一緒に観た息子と死生観の話ができたのは、個人的な収穫。
ちょっと観る人を選びそうな気もする作品だったかな笑