柏エシディシ

ブンミおじさんの森の柏エシディシのレビュー・感想・評価

ブンミおじさんの森(2010年製作の映画)
3.0
「君の名前で僕を呼んで」を観た時分、とても素敵な撮影だなぁ〜誰かなーって思ってパンフ見たら、アピチャッポン作品で有名なムックディープロムで驚いたもんです。だって、あのイターリアな映画でタイ人の彼の名前が唐突に出てくるんだものっ。
そして、驚きと同時に合点がいったり。美しくも柔らかな南イタリアの陽光を捉えたカメラは、あの夏の夜独特の空気感、なにか隠されてる、潜んでいる空気感も確かに捉えていて、これは「ブンミおじさん」にも通じるお仕事だよなぁ、と。
ルカ・グァダニーノとはそのまま仕事を続けるようで、最近公開された「サスペリア」リメイクの予告を見る限り、これまた素晴らしいお仕事をされてる様で、これまた楽しみ。
って事で、ムックディプロームへの興味がアガってきている中でのアピチャッポン特集上映という事で行ってきましたイメージフォーラム。

彼の国独特の死生観が反映された寓話的世界がゆったりとした時間の中で語られるのが本当にユニークで面白い。
自分はどうやら、勿体ぶらずに、こう服を着替える様にヌルッと自然に、この世界があちらの世界と繋がったりボーダーを越えてしまう演出が大好物の様で、ブンミおじさんの奥さんと息子が食卓に現れるシーンも大好きだったりします。
日常と霊的世界(と仮に言っておく)にはもともと境界線なんてものはなく、現代において実はその事をなにより自然に当たり前の様に表象出来るメディアなんだと思うのですよ、そもそも映画って。
でも、そのことを心から信じて、恐れずにそのボーダーを軽々乗り越えていく映画作家は稀。リンチやアピチャッポンはまさにそんな映画作家の代表なんじゃぁないでしょうか。
あと、オリエンタルな雰囲気もあって、今回想起したのは水木しげる先生。水木しげる先生は漫画でそれをやっていたんだよなぁ。

などなど、とめどめもなく考えたり思ったり。今回のブンミおじさんの森。
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