よしまる

ブンミおじさんの森のよしまるのレビュー・感想・評価

ブンミおじさんの森(2010年製作の映画)
3.6
パルムドールということで観てみた。なかなか良質なファンタジーで吸い込まれるが、終わって放り出されたところであまり何も残らない、キツネにつままれたような映画だった。

アニミズムやリインカーネーション、アニマティズムといったようなオカルティックな要素が散りばめられており、そういう土着的な信仰とあまり縁のないボクにとってしてみれば、笑っていいものかあかんものなのか、なかなか判断に躊躇してしまうw(←wってわろてるやん)

タイの歴史にも疎くて、共産主義者による虐殺や検閲の厳重さなども観終えてから関連性を知ったものの、到底共感し得るものではなかった。

だが、言わば現代アートなんてそんなものだ。
感じる人が感じればいいし、わからないことをわかった気になる必要などさらさら無い。
むしろ、なんだこれ?え?と興味を注ぎ、評論家の解説を漁ったり、タイの歴史を掘り下げてみたりすることこそが、こういった作品の楽しみ方であり、おそらくは作り手の期待するところではないだろうか?

ボクたちはどこから生まれてきて、何をして、あるいはさせられて、そして死に行くのか。
人と獣と森の境い目はどこにあるのか、世界はいくつ存在するのか。
映画を観ることでそういったどうでもいいようなことにちょっと思いを巡らせてみるのは、それはそれでとても素敵な時間だと思うのだ。