villjobba

IT/イット “それ”が見えたら、終わり。のvilljobbaのレビュー・感想・評価

3.8
恐怖のピエロに襲われる子供たちを描いたホラー映画。
スティーブンキング原作なのだから、大きな効果音で怖がらせてくるようなただのホラーではないことは確実。
実際その通りで、スタンドバイミー感の強い子供たちの青春と、解ける謎が気持ちいいサスペンスなストーリーが楽しめます。ホラー要素はサブに過ぎないといってもいいかもしれない。

ただ単に子供たちが襲われるシーンを並べるだけではなく、それぞれのキャラクターの辛い生活環境、トラウマ、葛藤、思春期っぽい恋愛などに焦点を当てているところがたまらない。
80年代のガチヤンキーや、それに振り回される人々の様子、そして大人になった後の物語を予感させるラストなんかは、完全にスタンドバイミー。
スタンドバイミーが好きな人は100%気に入る映画!

また、先日観た「キャビン」と同様に、これからのホラー観が変わりそうな印象を受けた。子供たちの純粋な勇気に惹かれたからである。
普段ホラーを観るときは「そんな怖い家に入らずに我が家に帰れよ!」「好奇心を抑えてその怪しいオブジェクトに触るなよ!」「そんな危険な街なら引っ越せよ!」と、あえて恐怖のシチュエーションに足を踏み入れていくキャラクターの行動を制止したくてたまらなくなる。
しかし本作では、彼らが逃げずに戦うことを選択していくところがカッコ良い。しかもまだ子供なのに。自分にも恐怖の存在を自ら打ち砕くための勇気が必要だなと強く感じることができた。
これからホラーを観るときは「よし!そのまま怖い家に入って敵を退治してしまえ!」「いいぞ!そのまま殴り倒せ!」とキャラクターを応援する立場で観ようと思います。

ホラーを筋としながら、青春物語とサスペンス要素を強く盛り込み、そして現れた敵に恐れずに勇気をもって立ち向かうことの大切さを教えてくれるイケメンな映画でした。
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