やわらか

IT/イット “それ”が見えたら、終わり。のやわらかのレビュー・感想・評価

1.6
『んー、スティーブン・キングの映画化はやっぱり難しいなー。』

観終わった後の自分の感想はその一言。
 
確か4分冊になっていた原作小説を読んだのはだいぶ昔のことだけど、ある意味キング作品の王道というか、メイン州の田舎町、閉鎖的な人々、複雑な家族関係、時間の経過、生活、文化。そう言うモノが複雑に絡み合って、ひとつの世界を作っている。この作品の象徴はもちろんペニー・ワイズだけど、本当の主人公は街であり作られた「メイン州」なんじゃないかと思う。
 
でも、この映画では、そう言う部分の描写はとても希薄で、表層的なストーリーだけど追ってしまっているように思える。それは小説と映画との違いと言えるのかもしれないけれど、いろいろなモノが重層的に描かれていた原作から、特定のレイヤーのみが抽出されて来た感じ。
 
役者陣の中で一番光っていたのは、間違いなくベバリー役のソフィア・リリスさん。今回がちゃんとした映画の出演は一本目とのこと。
 
<https://takmo01.com/post-1347-1347>

彼女が魅力的であることでたくさんの観客が恐怖を覚えるストーリーに、勇気を持って入って行けたんではないかと。
 
ただ、「IT」という作品としてそれで良いのか?というところがあって、最後のビルとのシーンとか恋愛モノみたいな要素が入っているけど、それまでそんな仲になるような前フリがなかったので、個人的には違和感ありまくりだった。
 
そして、特定のキャラだけがピックアップされることで「狭い街の中にたくさんの自律した思惑を持った人々が生きている世界」というキング作品の面白さを失わせてしまっていると思う。少なくとも自分にとっては。
 
ぶっちゃけ今回のような、シンプルにホラーな要素を持つ青春ドラマなら、「IT」じゃなくて良かったんじゃないかと思うんだけどな。クソ長い原作を読んだ人は少ないだろうし、しょうがないんだけどとっても残念。逆に原作読んだことない人には、ホラー予想してたら意外と「いい話」のジュブナイルとして観れる佳作なのかも。
 
(この辺のキング作品の雰囲気を一番伝えているのは、ドラマシリーズの「ツイン・ピークス」ではないかしら)

そうそう、カッコ悪い日本語副題もサイアク😖💦

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ほぼ満員のシネマ・ロサのレイトショーで観たけど、上映中も話したりスマホチェックする客ばっかりで環境最悪だった(´д`)
やわらか

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