ローズバッド

IT/イット “それ”が見えたら、終わり。のローズバッドのネタバレレビュー・内容・結末

2.0

このレビューはネタバレを含みます


僕もルーザーズ・クラブに入れてくれよ〜!

各々の子供が抱える問題を提示 → 恐怖シーンとなって → なぜか子供は近寄る → ばーん!クラウンでした! → とりあえず逃げると助かる…の流れで多数のキャラ紹介をしていく序盤。
それぞれ興味は惹かれるが、繰り返しの多い話運びはやや鈍重。
二度に別けた屋敷への突撃も、一度にまとめてもいいのではないか。
90分ぐらいにコンパクトなほうが似合う作品に思う。
ビックリさせられる瞬間は多いが、クラウンが歯をむき出しにしたところで、怖くはない。
そもそも、格闘が可能な化け物って、「どうやって倒すか」の思考になるので、あんまり怖くない。
ホラー描写よりも、生理的に嫌なシーン(排水口から血のついた髪の毛とか)のほうにゾワゾワ。

ニュー・キッズ・オン・ザ・ブロックとか、映画館の上映中作品とか、ちょくちょく80'sネタを放り込んでくる。
昨今、こういう懐かしネタで「気が利いてるでしょ」と目配せする演出が、やたら流行っている気がするが、食傷気味。
正直言って、あんまり文脈解らないし、注視するのに精一杯。
とはいえ、『スタンド・バイ・ミー』や『グーニーズ』っぽさとか、ガキんちょが自転車を乗り回して、道のド真ん中に乗り捨てる感じとか、「あ〜、アメリカ映画を観てるなぁ〜」感はやっぱり楽しい。

「化け物は人間の心の中にある恐怖の具現化」
「神話の無いアメリカ社会では、代わりにホラー映画がある」
という学説どおりの教科書的な設定。
しかも、それを全部セリフで説明してくれる。

「弱い者イジメをしてる奴がいると、町に鬼がでるぞ〜」
「怖れてばかりじゃダメだ!立ち向かえ!」
と、真っ当なメッセージを持った民間伝承みたいな話。

山のように積み重なったゴミや廃棄物が象徴する「心の中の澱み」が化け物の正体であろう。
本作のように恐怖の原因にちゃんと根拠がある物語より、根拠がない物語のほうが、本当は怖いと思う。
突然、交通事故にあうとか、病気になるとか、現実の悲劇には因果がないことが多いわけだし。
そういうホラー映画もいっぱいあるだろうけど。

ともあれ、ルーザーズ・クラブのみんなを大好きになる映画。
クラウンに変換しなくていいから、あいつらの苦〜い青春をずっと見ていたくなる。

※※※※※※※※※※

無知なため解らなかった点があるので、どなたかコメントで教えて頂けると幸いです。

モディリアーニ風の顔の歪んだ女性の絵は誰でしょうか?聖人的な人物でしょうか?
彼が怖れていたのは、単に「気持ち悪い絵」なのか?「ユダヤ教の厳格さ」なのか?という事に関わってくる気がします。
「ユダヤ教の厳格さを怖れている」描写だとすれば、アメリカ映画で「ユダヤ教を批判(厳格なしきたりを子供が怖がってるでしょうが!という)」は基本的にしないはず…と思っているのですが、どうなんでしょうか?
「人種差別を批判」は、社会通念であり、近年の映画の潮流ですので、はっきり描かれていましたが。