emily

IT/イット “それ”が見えたら、終わり。のemilyのレビュー・感想・評価

3.9
 田舎町では子供達の失踪が相次いでいた。ビルの弟も大雨の日居なくなり喪失感に明け暮れていた。学校ではいじめの標的になっていたり、家で問題があったりする子供達、それぞれが”それ”を目撃している。”それ”を見るのは恐怖を持っている時だった。そんな子供達が”それ”に立ち向かうために団結し立ち上がる・・

 ただのホラーではない。子供達のきらびやかな青春を明るい色彩と音楽により紡ぎあげており、息抜きの時間がある。いじめやDV、性的虐待など子供達がそれぞれ抱える問題の描写もしっかりなされ、”それ”を目撃してしまう心の隙へ繋がっていく。ホラー要素は”それ”の存在がどこかメルヘンさを残し、スピード感と音の効果により、観客が待ち構えるより前に目前にやってくる。痛みを感じさせる残酷な描写も冒頭から多数あり、子供達の無知と交差し子供達を主人公にしたからこそ描ける世界観が出来上がっている。

 ホラー要素と青春物語が見事に交差し、そこに淡いラブが交差する。物語はシンプルながらも力強いメッセージを残し、忘れていた勇気や立ち向かう強さを思い出させてくれるのだ。そのメッセージは今の世の中だからこそ響くのかもしれない。弱さや恐怖はいつだって自分の中にある。一番の敵は自分自身であること。そうして人は一人では無力だが、たくさん集まればその力は何倍にもなること。
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