しゃにむ

IT/イット “それ”が見えたら、終わり。のしゃにむのレビュー・感想・評価

3.8
「ベンから肉汁出てる!」

ボ ジ ョ レ ヌ ー ボ ー 解 禁
肉 汁 マ シ マ シ

↓あらすじ
雨の日、弟にヨットの玩具をあげると、弟は外でヨットを浮かべて遊ぶ。ヨットは排水溝へと吸い込まれた。兄に殺されると恐れて弟は排水溝を覗き込んだ。排水溝からはピエロが顔を出した。ペニーワイズと名乗る不気味なピエロに弟は排水溝に吸い込まれた。弟は下水道にまだいる、兄は弟の亡骸を求めて仲間達と下水道へと足を踏み入れる…

・感想
「ギャハハ、こんなんでビビるなんて道化してるぜ!」と豪語するしゃにむ氏のオムツは若干湿っているのだ…下事情はさておき、そこまで怖くはない。元祖ペニーワイズにしこたま震えた子供時代の記憶があるからだ。イットを未見の人で、元祖ペニーワイズを知らない人なら新鮮な恐怖を体験出来るのでは無いだろうか。ペニーワイズに立ち向かうたくましい子供達の演技は素晴らしい。思春期に一歩踏み出したぎすぎすした感じが上手く表現出来ていて、キング作品のスタンドバイミーを見ているような青い気持ちになる。だがしかし、原初体験は覆せないもので、リメイク作と結論に至らざるを得ない。大人が観る作品では無いのだ。イットを観てきた大人たちが観て良い作品では無いのだ。15歳未満の観客こそ観るべきだ。我々がペニーワイズに震え上がった様に、彼らも新生ペニーワイズに様々な苦悩を覚えるべきなのだ。年齢制限だけが唯一、絶対の失敗だったと思う。

・味覚の季節
ペニーワイズは恐怖の具現化。すなわち恐怖に打ち勝つ人生論的な勇気の作品である。感動するのは間違いない。それはそうと笑える点も見逃せない。ボジョレー飲まなきゃ…使命感がふと蘇るバスルーム事件。排水溝からおびただしい量の血潮が吹き上げてバスルームが血糊まみれになる(ギャハハ‼︎)観客が騒然とする中、自分は笑い転げていた。帰りにワインを買ったのは言わずもがなである。そして味覚関連で言うと、影の主人公と言っても過言ではないベンの存在が多い。貴重な肉汁要因である。豚でもないおデブちゃんで日陰に生きる地味な存在なのだけど、ヒロインに恋い焦がれてポエムを読む可憐な肉汁男子なのだ。イケメン主人公に彼女が傾いてしまうのは主人公補正で致し方ないけど、好きな子のためならどれだけ肉汁が飛び出ても命がけで守る根性が素晴らしい。泣ける。日陰者で何が悪い、日陰にも幸せはあるし、日陰で幸せを望んで何が悪い!勇気あるベン少年の勇姿に目から豚汁が出ていた。個人的には彼こそヒーローだ。彼の勇姿だけで十分。どんな大人になるのか楽しみだ。
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