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IT/イット “それ”が見えたら、終わり。のkotchanのレビュー・感想・評価

3.5
子どもの頃はホラー映画をよく観ていたと思う。例えば『13日の金曜日』はTV放送されれば、夜中にひとりでトイレに行けなくなるのがわかっていながらも観てしまう。親にこれはやってはダメ、あそこは危ないから行ってはいけないと言われるほど、やってみたくなるし行ってみたくなる。子どもの行動原理は"純粋な好奇心"であり"行動力"に直結しているため、大人からすれば理解しがたい判断や行動を取ってしまう。
行かなければいいのに。
やらなければいいのに。
見なければいいのに。
"それ"を見なくて済んだのに…

田舎町で相次ぐ子どもの失踪事件。家庭では親に支配され、学校や街中では不良グループからイジメを受ける少年少女たち。行方不明の弟探し、失踪事件と過去の歴史の関連を調べる中で出会ってしまう"それ"は、子どもの好奇心につけ込み罠に誘い、時に姿を変えどこにでも現われる。恐怖と肉体を喰らうために。

これでもかという押し付けがましいホラー演出の度に、僕の体はご丁寧にピクピク反応してくれて自分のビビリ体質を心底恨めしく思う。これはビビりーが劇場で観ちゃダメなやつ 笑。
震え上がるような恐怖というよりは、"それ"=ペニーワイズのビジュアルと動きが気持ち悪い印象が強いのだけども、そんなのが猛スピードで迫ってきたり突然現れたらそりゃ怖いでしょ‼︎ しかも噛みつくんですよアイツったら。タチ悪いんですよ。
でも不思議と慣れてくるもんですね。終盤あたりではもうキモい変態ピエロにしか見えなくて、もしかしたら子どもたちと同じように僕も恐怖を克服していたのかもね(強引な思い込み)。

《友情・努力・勝利》
まるでジャンプ漫画のようなテーマはいじめられっ子の成長を促していく。自らを「ルーザーズクラブ」と自虐的に呼び、不遇な環境下の自分をどこか受け入れてしまっている少年たちが、同じ境遇の少女から少しの勇気を貰う。見て見ぬふりをする人生と決別すべく仲間たちに結束を訴える場面も胸にグッとくるものがある。
ペニーワイズが子どもの恐怖心を具現化した存在ならば、戦い勝利することは恐怖心と向き合い克服する意味を持つのだろう。

観ている時はビビリ演出にノックアウトされてそれどころではなかったけど、今作は青春映画の色合いが強く、子どもらしい淡い恋愛、友との絆、自身の成長などを上手く盛り込んだ作品だったとしみじみ思う。
とは言え、不良グループのイジメ方が非常にハードなのは観ていて辛かったし、冒頭の惨劇を超えるインパクトが無かったのも惜しいし、
"それ"が見えたら終わり
なのに
"それ"が見えても終わらない
ではさすがに物足りない。
この辺は続編に繋がっていくということなのかな。

それまでにビビリ体質を改善したい(^◇^;)ハハッ
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