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LOGAN ローガンのkouのレビュー・感想・評価

LOGAN ローガン(2017年製作の映画)
4.0
《罪を背負った男》
とても渋く、そして暗く、ある罪を背負ったものの最後を描いた新しいアメコミ映画だった。X-MENシリーズの第9作目で、ヒュー・ジャックマン演じるウルヴァリン最後の作品。レーティングを付け、ウルヴァリンの凶暴性、そして死などについてしっかり描いた大人な一作になっていた。

今作ではミュータントが25年生まれていなく、X-MENも全滅している世界が舞台になっている。残っているのはウルヴァリンとプロフェッサーX。プロフェッサーXは老いていて、介護を必要としている。ある時ローガンは、ローラという少女を「エデン」という場所へ送り届けてくれと依頼される。

今作ではウルヴァリンが治癒能力が衰えたため、老化している姿で登場する。怪我も治るスピードが落ち、そして運転手の仕事をしながら船を買う資金を貯めている。世の中に絶望し、プロフェッサーXの介護をし、彼自身の絶望が描かれる。今作の位置づけをよく表しているのは、X-MENのコミックがあるところだろう。彼らのかつての出来事をコミック化しているという位置づけなのだが、ウルヴァリンはそれが作り事だと言う。本当の戦いには人の命が無くなるのだ。その言葉通り、今作では人を殺せば血が出る。生々しくバイオレンスな描写が描かれる。つまり、彼の今までのX-MENでの活動は、今作のように人殺しをしてきた活動でもあるのだ。多くの血を流し、命を奪い、そんな罪に苦しんでいる。今作では、今までのX-MENシリーズでできなかった、ウルヴァリンという男が戦ったときの凶暴性、血がでて、人の体を壊すという描写が描かれていた。

そんな罪を背負った、死の影が見えているウルヴァリン。彼が少女とプロフェッサーXと共にエデンという場所を目指す。この過程もなかなか渋くて良い。彼が連れて旅するローラという少女は、初めは敵意があり、ウルヴァリンとしても全くなんの感情もないが、旅を続けるに連れ、特別な感情が生まれることになる。

そんなウルヴァリンの辿り着く先。ある感動的な台詞に涙なくしてみることが出来ない。それは、ウルヴァリンという孤独な男の今までを思い返すとより一層ぐっとくるラストだった。アメコミの新しい形を示し、そしてウルヴァリン最後に相応しい映画だったと思う。ウルヴァリンお疲れ様でした、そうしみじみと観終わって思った。
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