ハーコート

LOGAN ローガンのハーコートのレビュー・感想・評価

LOGAN ローガン(2017年製作の映画)
4.5
どんなスーパーヒーローもいつかは老い、病み、輝きを失って死ぬ。

ローガンもまた体内の毒で徐々に弱り、咳き込み、真っ直ぐ背を伸ばして歩くことさえ困難な状態。あの怪物がそこら辺のチンピラにさえ苦戦する始末。世界のためにさんざん戦ってきたのに幸福な境遇などはなく、隠れるように運転手をして暮らす毎日。胸に去来するのは過去の罪悪感ばかり。栄光もない。希望もない。

あまりに惨めで情けない最後。悲しくなる。こんな姿は見たくない。だけれど、ローガンの終着点にこれほど相応しい姿もないと思う。

スーパーヒーローのまま、有終の美を飾って最終回なんていうのは簡単だろう。マーベルらしい高水準のアクションで敵をバッタバタ凪ぎ払い、世界を救って、最後にアダマンチウムの爪をそっとしまうシーンでも挿れときゃいい。それはそれできっと楽しいだろう。さよならウルヴァリンって拍手で送り出せる。
でもこの映画は『ウルヴァリン』じゃない。『ローガン』。彼をウェポンⅩ計画のウルヴァリンではなく、ローガンという一人の人間としてその終末を描いている。かつての力を失い無様な姿を晒して、それでも、もがきにもがいて未来にgeneを繋ぐ。まさに人のあるべき姿じゃないか。無様、だけれど醜くはない。

ヒューや製作陣がなぜこのタイトルをつけ、R指定も厭わずこの内容にこだわったのかよく解る。

ヒュー・ジャックマン。
それからパトリック・スチュワート。
ありがとう。
ハーコート

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