デイジーベル

LOGAN ローガンのデイジーベルのレビュー・感想・評価

LOGAN ローガン(2017年製作の映画)
3.9
ヒーロー作品でありながら、ヒーローの世界と隔絶した乾いた男の哀愁を感じる

◯作品と概要◯
西部劇とノワールを足した様な作品でアメコミ作品でありながらも″傑作″を超えて″名作″と呼べる感じの作品となっている。重厚なテーマやシリアスな内容でアメコミ作品の可能性を広げた「ダークナイト」。本作は更にそれを進ませたものになっている。ウルヴァリンのスピンオフ作品の枠を超えてX-MENシリーズに区切りをつける決定的な作品。

◯物語◯
_(┐「ε:)_ 認知症で発作持ちの介護老人(薬漬けの大量破壊兵器)と、不死身じゃ無くなったアル中で老眼の中年リムジン運転手が、問題を抱えた少女と出会い、エデンを目指すロードムービー。

◯感想◯
ヒーローとしての役割を失い、現実社会に戻された年老いた元ヒーロー達。どうしようもなく変わってしまった世界。そんな酷い世界で描かれる、本当の「正義」のかたち。それが下の世話であったり、食事の世話であったり、子供に対する優しさであったり、小さな事であっても今の自分に出来る優しさ。その行いが最終的には自身を救う事に繋がる事。それが名作「シェーン」を使った演出にも繋がっていく。殆ど怒りの感情しか表に出さなかったローラが最後に見せる感情にヤラレた。ヒーロー(ウルヴァリン)ではないひとりの男(ローガン)が求めたものとは… 近年のクロスオーバー作品が溢れた中での潔いラストは素晴らしい。鑑賞後にはクリント・イーストウッド作品に似た余韻を味わえる。


◯雑記◯
個人的には「X-MAN」シリーズは楽しめなかったが、今作はとても楽しめた。(アメコミ映画に一石を投じたという意味合いでも評価すべき作品だと思う。)

エンディング曲の「The Man Comes Around」は「ドーンオブザデッド」のオープニング曲にも使われたカントリーミュージック界の伝説と言われた″ジョニー・キャッシュ″によるものだ。(ちなみに彼の遺作となったアルバムに収録されている)この作品の雰囲気と余韻を印象付ける名曲だ。(´ω`)