けんくり

映画よ、さようならのけんくりのレビュー・感想・評価

映画よ、さようなら(2010年製作の映画)
4.0
タイトルとあらすじに惹かれて。
映画好きが趣味嗜好を凝らして作った、映画好きたちへ送る映画。

シネマテークに長年勤めてきた映画を愛する独身男性ホルヘ。映画を取り巻く環境が変わりゆく中で、"収益が立たない文化的施設"となってしまったシネマテークは、遂に閉館となってしまう。

映画を守り続けてきたミニシアターが続々と閉館の憂き目にあっている現状への寂しさ、やるせなさ。シネコンが悪いとか、そういう話じゃないんだけど、色々な映画との出会いの場を作ってくれる劇場に人が入らなくなる、そしてそれに対して世間が何も思わなくなる、っていうのは、凄く悲しいなと。(完全に映画好きの一方的な視点なのであしからず)

映画の「観客を育てる」っていう概念が劇中出てきて、それは監督名を覚えたりと映画について博識になることじゃなくて、どれだけ一つの作品に対して繊細になれるか、感受性を高められるか。そしてそのためには、色々な「良い映画」に触れることとあって、改めて観客としての自分を育ててくれる劇場に感謝を。