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映画よ、さようならのMovingMoviesのレビュー・感想・評価

映画よ、さようなら(2010年製作の映画)
4.0
最高得点をつけてないけど、レビューしたくなる。そんな映画だった。

Filmarksのあらすじに書いてあるウルグアイのシネマテークが舞台。アイスランド作品の選別もしていた。シネフィルには最強の映画館に見えるが経営難。部屋の壁には黒澤明の『乱』のポスターも貼られている。

主人公のホルヘは 腕をだらんと垂らして歩く。風貌から、 ロイ・アンダーソン監督『さよなら、人類』を思い出したりもする。

昨日と同じような明日がもう無い瞬間がやってくる。ホルヘは立ち止まる。そして何かに立ち向かうように人の流れに逆らって歩きはじめる。嘘について講義をし、廊下をジグザグに歩き、池の鯉の美しさに気がつく。立ち寄る床屋の名前がホルヘとアンジェラ(ホルヘと天使)というのは偶然ではないのだろう。

嘘についての講義は映画についての講義ともいえるかもしれない。映画は光の中の幻だ。ホルヘは髪を切り、新しく生きはじめているかのようだ。過去を置き捨て、身軽になる。太鼓と笛が鳴り響く。好きな人を誘うのは跳躍だ。軽やかに、だが命懸けの決闘のようでもある。

人生の終りと始まりはそうして街の人々の中にまぎれていく。