KnightsofOdessa

Intimate Lighting(原題)のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

Intimate Lighting(原題)(1965年製作の映画)
4.0
[シュチェパさん 暇を極めて 無双する] 80点

以前から気になっていたチェコ・ヌーヴェルヴァーグの最重要作の一つで、先日亡くなったフォアマンの盟友であるパッセルが母国チェコで撮った唯一の作品。70分と短尺ながら田舎の風景やいつの間にか年をとってしまった中年たちの哀愁といった要素を多分に含んだゆるふわ系コメディ。とは言ったものの特段面白いわけではなく、滑稽だが笑顔になる手前という印象の映像を延々とぶつけてくる感じ。しかし、ミクロシュ・ヤンチョーを4本も連続で見た後だと、長回しでないだけで安心してしまう自分がいるのが恐ろしい。

都会のオーケストラでチェロを演奏するペトルが恋人シュチェパと共に音楽学校時代の友人バンバスを訪れる。彼は田舎の音楽学校の校長をしており、そこで開かれる演奏会に招かれたのだ。バンバスが田舎臭いいい味を出していて、妻を始めとして義母そして長女と長男にまで尻に敷かれており、家の増築をと7年もレンガを積んでいる健気な男だ。彼に比べると都会暮らしのペトルは若い彼女(こいつもまたアブナイ女なんだけど)もいて、バンバスなんかより給料も高いんだろうけど、ペトルはペトルで"クラシックしか弾けない"という悩みがあって面白い。彼らは酒を呑むことで、大きな夢を持っていたであろう学生時代を思い出し、"デカイことしようぜ"と田舎から出ていこうとするがバスはふたりに気付かず通過する。

途中にわとりが無双して車を襲うとこも、にわとりを轢き殺した次のカットが葬式ってのも面白いけど、一番良かったのはラストのエッグノッグの粘性が高すぎて皆上向いたまま切られるとこだよね。ちなみに、シュチェパ役はフォアマンの当時の奥さんそうで。恋人ペトルが練習中に暇を極めて無双するシーンも好き。
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