八木

バイバイマンの八木のレビュー・感想・評価

バイバイマン(2016年製作の映画)
2.0
ホラーの根幹のギミックとか脚本とか演技とかそういう以前に、怖がらせる・嫌な気持ちにさせるための気迫が全然感じられなかった。血や内臓、刃物なり銃なり、「痛い」とか「死にたくない」とこちらが思えるような心配りがまるでできてなかったと思う。具体的には、死に方の工夫が全くないんですよ。銃で「ドン!」で死ぬときに、『常にそうあるべき』とはもちろん言わないけど、ホラー映画で死の瞬間に別のシーンに切り替わったらダメでしょうよ。もっと言えば銃で「ドン!」で死なないでほしいです。その殺し方なら、何か工夫がほしいです。嫌な死に方してないんですよ。登場人物が大体きれいなまんま死んでるんです。モロB級ホラーの触れ込みだったし、一定のエンタメを頂けると思って見に行ったのに、超ガッカリでした。多くの人が「ヤバいな」と感じたのは冒頭じゃないでしょうか。血糊全然使ってないの。猟銃で打っても人体全然破壊されてないの。
この映画は、「理不尽なもの=バイバイマン」が恐怖の根源でして、そこに説明を求めてはいけないタイプの映画となっています。だからまあ、バイバイマンによって特に理由もなく殺されていく人々をみてこちらも怖がることができたら一定の価値があると思います。僕はそれについてもダメでした。その理由はネタバレになるから書けなくてとても残念です。
やっぱりさあ、「理不尽な存在」のくせして「根拠のある存在・行動」で死ぬのは、ホラーでエンタメを頂こうとしてる人間からすると残念なわけですよ。全く会話の通じない存在と対峙して、それでもどこかに希望がないかとじたばたして伸ばした指を小学生用のハサミでゴリゴリ削られて切られたら、すげえ痛そうだし嫌だし、そういうのが見たいんです。理不尽を前に混乱した人が銃を乱射した結果巻き込まれて死ぬのは残念なんです。僕は、バイバイマンに力を合わせて立ち向かおうとした人間が全く理不尽に全く歯が立たないまま、痛そうで辛そうに死ぬような話が見たかったわけです。僕サイコじゃないよ。ホラーでエンタメを頂くとしたら、僕はこんなのがいいと思って適当に書いてるわけです。
でもまあ、「幻覚」のくだりは楽しかったです。楽しかったけど、もっと手前に振りを聞かせて、もっと巧妙に「幻覚」を頂きたかったです。
八木

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