ソラアユム

バイバイマンのソラアユムのレビュー・感想・評価

バイバイマン(2016年製作の映画)
2.9
古い屋敷で暮らすことになった3人の大学生に降りかかる恐怖を描く。



名前を言ってはいけないあの人。
忘れなくちゃいけない人
忘れたい人。
詰まる所今作は、『君の名は。』と対極にある作品です(大嘘)

"バイバイマン"という名前を知り、その事を考えると狂ってしまうらしい。

最初のシーンは全体的に良かった。
冒頭の"割と明るい時間帯に正気を失った人が何かを恐れ奇怪な行動をとる"シーンの長回しは、明らかに『イットフォローズ』を意識しているとは思いますが、掴みとして素晴らしくかなり引き込まれました。
逆にそこ以外に褒めるところが見当たりません、残念ながら。

この様な"○○してはいけない系ホラー"はしっかりとしたルールを設定する事、登場人物がそのルールの下で行動(アクション)を起こす事が大前提。
勿論例外はありますが。
今作も"○○してはいけない、○○しているうちは安全"という様なルールは設定されています。
登場人物がこのルールの下行動しないというのが致命的。
正確には登場人物がルールを認知していない。
故に事態の深刻さに気付き、解決策を模索するまでに要する時間が非常に長い。

バイバイマンは幻覚を見せて惑わしてくるという設定(ルール)を観客が分っているのに、登場人物が気づいていない為にヤキモキします。
いくら登場人物がホラー描写に恐怖しようが驚こうが、「どうせ全部幻なんでしょ?」とどうしても一歩引いた視点で見てしまう。
これは観客と登場人物の間ではっきりと意識の違いがある為である。
終盤で主人公がやっとルールに気付き始めるも時すでに遅し。
ほぼ全編通してバイバイマンの幻覚に翻弄されるだけなので、脅かし方として全く芸がなく全然怖くありません。
何故なら(観客は)幻覚だって分かっているから。
"言うな、考えるな"だけでどこまで引っ張る気?

プロットは悪くないと思います。
他作と比較するのもどうかと思いますが、設定(ルール)は単純だけど、ルールの下ちゃんと主要な登場人物が行動し、何なら幽霊側にもドラマがちゃんと用意されていた『ライト/オフ』がどれだけ凄かったか。

あのコインも何なんですか?
あの電車は何なんですか?
印象的な使われ方してましたけど結局ストーリーにあんまり活かされてないし。

期待していただけに残念!


記録
2017年鑑賞作品124本目