JIZE

バイバイマンのJIZEのレビュー・感想・評価

バイバイマン(2016年製作の映画)
3.1
アメリカのウィスコンシン州を舞台にその名を知るだけで呪われる謎の存在"バイバイマン"に狙われた大学生たちが解決の糸口を辿りながらも死へ追い詰められていく恐怖の伝染を描いたインディホラー映画‼明けましておめでとうございます!今年の1発目に扱う作品は何かアイデアが凝らされた新鋭のホラー映画が観たいと思いこの作品を選んだ。鑑賞後だと題目を手入力する事すら背後を気にしたりはばかられてしまう。原題の『The Bye Bye Man』は作品に登場する"悪魔の名称"で本編でも主に「do't say it,do't think it」という不気味な用語が繰り返し多用される。中盤の家中に殴り書きされてる場面はさすがに背筋が凍りました。先に結論から言えば呪縛の設定はそれなりに楽しめた。いわゆる幻覚がフェイクでその先に現実の罠が張られていたり感染者が呪縛の餌食となり仲間内で疑心暗鬼になってく陰惨なダークサイドなど。また伝染者に恐怖心を植え付けそれが力の増強になっている設定なんかも「IT」など巨匠スティーヴン・キングが書きそうな内容でもある。それこそ冒頭で拳銃を所持した男が家に押し入っては意味深な言葉をその住人へ投げ掛けその場で銃殺する描写は終盤で真相が結ばれる円環構造に機能していたり事の元凶が最悪な方向へ肥大化していく急なアプローチは登場人物たちの善人性ゆえに報われない。ここまで述べたようバイバイマンの特性(箇所)は普通にお約束ならではのジャンル要素が飽きさせない程度に小粒で機能してる。既視感がありながらも若者側が解決と破滅の間を何回も行ったり来たりしてくれるので作品の掴みは堪能できた。

→総評(名前を知っただけで死ぬ若者の地獄巡り)
主人公エリオット演じる主演の男の子がデイン・デハーンの血の気が引いたような暗い風貌と重なりエリオットが真っ青な表情をしながら事態の究明へ立ち向かう後半の展開は比較的サスペンスの見所が丁寧に描写され好きでした。特に図書館で過去の書物を引っ張りだし時間を巻き戻して解決の糸口を手繰り寄せていく展開は。ただやはり"呪いの根源(あるいは逃れる方法)"の練られたロジックが薄すぎたというのがこの作品の盲点に思えた。というのも前半は無為無策な若者たちが一方的に翻弄されバイバイマンに振り回されてしまうだけなためその日常描写が非常に退屈。時間を費やした長丁場で展開されるので話が中々転がらなかったり危機感の薄さがかなり浮き彫りとなっていた。後半に主人公が事態の究明に急ぐまでは脚本がまったく転がらないため作品の世界観が映えなければ登場人物たちの個性も乏しくバイバイマンの能力を差し引けば作品の独自性がほぼなかった。敵から逃れる唯一の方法でも"名前を知った全員を殺し自分も自殺する"という分が悪すぎるメソッドなため"生還"の掘り下げが打撃性に欠け非常に致命的であろう。作品を単独で完結させるなら迎え撃つもう一幕が作品内では皆無なため単に"馬鹿な若者が都市伝説の餌食となる"以外の足場に踏み込んでないのは残念だった。あと序盤と中盤で度々使われた呪いの伝染者がバイバイマンの幻覚を見ては直ぐ様いなくなる演出もそれ以上の効果を挙げておらず怖がらせ方がだせえよと思いながら観てしまった…敵側に何か重大なハンデがあればもう少し世界観に色を添えれる一品でした。新年の幕開けに相応しい作品だったかはともかくぜひ近年で「死霊高校」や「ライトオフ」などインディー系の軽い良質ホラー映画がお好きな者には手堅くお勧めします‼!
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