こたつむり

バイバイマンのこたつむりのレビュー・感想・評価

バイバイマン(2016年製作の映画)
2.7
★ 考えるな、考えるな、考えるな…

「その名前を口にしてはいけない…」
ということで、タイトルを口に出した瞬間に呪われるホラー映画。勿論、作品に言及すれば“その”名前に触れる可能性も高くなりますから…内容について語るのも危険です。

だから、今回は愚にもつかないお話をひとつ。

♪グッドバイ、グッドバイ、グッドバイバイ
コレクトコールでグッドバイバイ

これは僕が子供の頃に口ずさんでいたフレーズ。たぶん、元ネタは童謡ですね。改変に改変を重ねて、この形に落ち着いたのでしょう。しかし、大人になって考えてみると、これはかなり酷い歌詞だと気付きました。

何しろ、通話相手に料金を負担させたうえで「さよなら」を告げるわけですからね。屈辱的な話ですよ。優しさの欠片も見当たりません。鬼畜の所業です。

しかし、子供にそれが理解できないのも当然。
人の心を理解するためには経験と想像力が必要ですからね。特に経験は容易に積み重ねることが出来ませんから、常日頃から想像力を鍛えておく必要があるのです。

そう思えば、小説や漫画、映画などは最適の教材。物語の向こう側を想像することによって、考える力が身に付くのです。だから、ホラー映画で“見せ過ぎ”の演出は歓迎できません。想像力に訴えかけるのではなく、お化け屋敷のように驚かせるだけなのですから。

“都市伝説”を素材にしたホラーも同様。
想像力に訴えかけるからこそ、背筋が寒くなるわけで。花子さんの容貌や、口裂け女の真実が白日の下に晒された時点で幻想は終わってしまうのです。勿論、バイバ…おっと。

いやぁ。危ない。危ない。
愚にもつかない話題だった筈なのに、いつの間に危険な領域に踏み込んでいたようです。そもそも、名前を口にしてはいけない…とは強迫観念の一種。緊張を高め、ミスを誘発する仕掛けですね。ホラー映画の素材としては一級品なのです。

まあ、そんなわけで。
作品としては丁寧な作りで上質なホラー映画。
それでも物足りなく感じてしまったのは…やはり想像力に訴求する部分が少なかったから、だと思います。序盤の雰囲気はかなり良かったのですけどね…。

それではバイバイ………キン♪
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