カツマ

バイバイマンのカツマのレビュー・感想・評価

バイバイマン(2016年製作の映画)
3.4
正体が分からないものほど怖いものはない。もしこの映画の中のバイバイマンがラストまで姿を現さなかったならば、この作品は何倍も怖いホラー映画になっただろう。
設定は面白い。キューブリックオマージュのような屋敷の描き方も、恐怖を煽るには十分だ。低予算でも作品として世に出やすいホラー映画というジャンルは、監督、脚本のアイデアが面白さの軸になることが多い。この映画にはアイデアは確かにあった。あとは魅せ方の問題だったのだと思う。

ーあらすじー

時は1969年。ある住宅街で銃乱射による殺人事件が起きる。犯人の男は『名前を言うな、考えるな』と何度も唱え続けていた・・。
現代に舞台は移る。大学生のエリオットとサーシャのカップル、そして2人の親友のジョンを加えた3人は共同生活のために古ぼけた屋敷を購入、待ちに待った3人暮らしが始まった。
エリオットは引越し祝いのパーティにて兄や姪っ子も招待し、3人の新たな門出は順風満帆に思えた。しかし、エリオットは年代物の机を開けてしまった。その机の底には『言うな、考えるな』の文字。そして知ってはならない名前がそこには書かれていた・・。

ー見どころと感想ー

まずはマトリックスでお馴染み懐かしのキャリー・アン・モスがチョイ役で出演。何故にチョイ役なのか、もっと出してほしかった。大学生3人の普通の大学生具合は絶妙で、特にエリオットとサーシャ役の俳優さんはビジュアル的にも整っているため、顔と名前は覚えておきたい。

恐怖描写の甘さもあってあまり怖くはないけれど、呪いの描き方や、後半に向けて一気に転がり落ちて行く展開はスリル満点で、エンターテイメントとしては面白い。あとはスリラーとしての体温を下げるような不可思議な不気味さを搭載するだけだ。もし続編があるならば、エリオットの兄や姪っ子を主演にしてもらいたい。この映画では子役の出演時間が短く、やはりホラー映画に子役の存在は不可欠なのだと思い知らされることになった。
カツマ

カツマ