みおこし

サバービコン 仮面を被った街のみおこしのレビュー・感想・評価

4.0
試写にて一足お先に鑑賞!コーエン兄弟とジョージ・クルーニーという『オー・ブラザー!』のタッグによるブラックすぎる衝撃作。あらすじは割愛。

明るい色合いのビジュアルとは裏腹に、想像以上にエグいストーリーに度肝を抜かれました。よく見るとポスターのマット・デイモンの襟や、ジュリアン・ムーアの持つカップにおかしな点が...!
冒頭に紹介される、カラフルで健康的なサバービコンの街のイメージが、いかにも50年代らしい雰囲気で可愛いな〜と思った数秒後には「違和感」が生じてきて、映画が終わる頃にはその「違和感」が「恐怖感」に変わっていることに気付かされます。
いつだってコーエン兄弟はブラックですが、もはや黒すぎて笑い飛ばせないくらいのユーモアに戦慄...!主役の少年ニッキーを演じたノアくんの迫真の演技もあいまって、飛び上がるほど怖かったです。

展開は途中から比較的読めるようになるのですが、それでもなお手に汗握る描写の連続。マット・デイモンとジュリアン・ムーアはじめ、キャスト全員の鬼気迫る演技がとにかく圧巻なので、見応えたっぷりでした。特にマットは新境地開拓という感じで、さすが盟友で監督のジョージ・クルーニーさん、マットの色んな一面をわかっていらっしゃるのだろうな!と(笑)。
オスカー・アイザックが登場した瞬間からどこからどう見てもクセのある役だろうな、と思ったら本当にクセのある役で笑いました(笑)。

同時進行で描かれるとある黒人一家の物語は正直後味悪すぎましたが、何も悪いことをしていない彼らに対して、サバービコンの一見良識のある人々たちがどれだけ性根が腐っていて、血も涙もない人々たちかがより伝わってくるので、コントラストをつけるためにあのような演出にしたんでしょうか。
外面をどんなに飾っても、本質の部分は隠しきれない。本物の「ケダモノ」とは誰かを考えながら鑑賞すると、あのラストシーンがなぜか希望に溢れたエンディングに思えるから不思議。
映画を観始めた時は何がテーマなのかイマイチ掴めなかったのですが、ラストに近づくにつれて、クルーニー監督とコーエン兄弟が作品に含めた痛烈な社会風刺が少し見えてきたような気がしました。

とてつもなくダークですが、人間の嫌らし〜い部分をどこまでも嫌らし〜く描いた衝撃作でした(笑)。ネタバレになってしまうのであまり多くかけないのが残念ですが、気になった方はぜひ劇場へ!
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