じぇれ

サバービコン 仮面を被った街のじぇれのレビュー・感想・評価

3.0
【ブラックコメディって難しい!】

人種差別がはびこる50年代を舞台に、人間の愚かしさを描いた、クライム・サスペンス。

脚本はコーエン兄弟で、『ファーゴ』のような味わいを狙った作品ですが、いかんせん監督のクルーニーが真面目すぎて...。
激化する黒人差別の傍らで、愚かな白人たちが繰り広げるドタバタを笑い飛ばす映画なのに、クルーニーは人種差別批判にご執心。
これでは、笑いたくても笑えず、空虚なドタバタ劇を口を開けてポカーンと眺めるしかありません。
クセが強い非常に高度な脚本ですので、コーエン兄弟が監督を担当するべきだったと思います。

とはいえ、『ゲット・アウト』とセットで観ると、考えるべきテーマが浮き彫りになりますね。
また、クルーニーが人種差別批判にこだわったからこそ、印象的で感動的なラストカットになったのも事実。
本作は、ブラックコメディではなく、実質的な主人公である少年の視点から、サスペンスとして怖がりながら鑑賞するのをオススメします。

※キャストにジョシュ・ブローリンの名がありますが、出演シーンは本編では全てカットされています。
クルーニーいわく、とても面白いシーンになったが、繋いでみたら全体のトーンにそぐわなかったとのこと。
特典映像で観られるのを楽しみに待ちます。
じぇれ

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