ノラネコの呑んで観るシネマ

サバービコン 仮面を被った街のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

3.3
1950年代、白人しかいない街、その名もサバービコンに黒人一家が越してくる。
たちまち白人住人から執拗な嫌がらせに晒される黒人一家の隣、幸せな白人一家で殺人事件が起こる。
マット・デイモン演じる夫が、障がいを持った妻を殺し、保険金せしめて妻の妹と逃げようという浅はかな計画を実行。
真実に気づいた一人息子は大人への不信感を募らせ、計画にはヒビが入ってゆく。
白人たちが黒人を追い出そうと騒ぎ立ててるその裏で、幸せなはずの白人たちが何をやってるかというアイロニー。
自分からドツボにハマってゆくデイモン一家の崩壊劇は、いかにもコーエン兄弟。
ただ、そこは面白いのだけど、人種差別の部分とのマッチングは今ひとつ。
シニカルな犯罪映画と、裏表となる街の悪意の部分が有機的に絡み合わず、取ってつけた様な印象になってしまったのは残念。
全体がブラックジョークなコーエン兄弟のシナリオと、生真面目なジョージ・クルーニーの演出は、あんまり相性がよくないのかもしれない。
ユーモアが全体の接着剤になってないのだよね。
とは言え、これもタイムリーな意欲作。
欠点は明らかだが、見応えはあり楽しめる。
一人息子役のノア・ジュプが素晴らしい。