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サバービコン 仮面を被った街のlpのレビュー・感想・評価

4.2
コーエン兄弟が脚本とあって期待!・・・していたけど、先立って公開されたアメリカでの評価は芳しくないと聞いて一抹の不安を覚えつつ鑑賞。

結果から言うと、鑑賞前の心配が杞憂に終わる、コーエン兄弟印の快作だった!
白人だけが住む町に移り住む黒人一家と、その隣に住む強盗に押し入られた白人一家。この2組の家族を通じて、現在の社会にも通じる「不寛容」と「欺瞞」を徹底的に炙り出す。コーエン兄弟の十八番である、ブラックな笑いは今作でも健在。ただ笑いを誘うだけでなく、些細なボタンの掛け違いで笑いを誘ったかと思いきや、そこから一気に話を加速させるドライブのさせ方は見事。コーエン兄弟と付き合いが長い監督のジョージ・クルーニーも、「牙の無いヘビ」や「子供用自転車」などのメタファーを盛り込み、話の本質を捉えて映し出す堅実な仕事ぶりを披露。

これから観る人に知っておいて欲しいのは、ミステリー的な面白さを期待すると期待外れに終わる可能性が高いこと。と言うのも今作は、主人公や町の住民が抱える「欺瞞」の正体は、早々に明示してしまうので。『ザ・スクエア』に近いテーマを扱った、ブラックコメディとして楽しむのがオススメです。
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