ゆとりん

ハクソー・リッジのゆとりんのネタバレレビュー・内容・結末

ハクソー・リッジ(2016年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

非常に道徳的な映画でした

この映画は戦争映画であり、
ましてや日本が敵として描かれます

それを『道徳的』というのは
間違いだと言われるかもしれません

人によってはこの映画を観て
気分を害することもあるかもしれません

しかし、私は
『日本人が殺し、殺される』
という点はこの映画が
強く描きたいところでは無いと思いました

銃を持たずに戦場へ向かい、
衛生兵として
75人もの命を救ったデズモンド・ドス

その舞台となったのが
たまたま沖縄戦だっただけで、
これがもし違う場所で起きた
出来事であっても、
この映画は作られていたでしょう

この映画は
『日本人を殺すこと』を
目的として
作られているわけではないのです

ただ歴史的事実として
描いているだけです

そのため、日本人が
敵として描かれることを
あまりネガティブに考えずに観てほしいです

ではこの映画が描きたいのは
何かと言うと、
それは信念を貫きとおすこと

そしてそれを受け入れることです

幼い頃の出来事から
決して殺さないことを
心に誓っているデズモンドは、
陸軍に入ってからも
その信念を曲げず、
銃を持つことすら拒みました

その結果周りから
「臆病者」
と罵られ、
差別的な扱いを受け、
更には暴力を振るわれても、
デズモンドは
頑なに殺すことを拒み続けました

その結果遂に
周りの考えを変えさせ、
衛生兵として
銃を持たぬまま
戦場へ向かう権利を得ます

そしてそこで
75人もの命を救う大活躍を見せたのです

もしその場に
デズモンドが来ていなかったら、
この75人は死んでいたでしょう

銃を持てない臆病者と
馬鹿にしていたデズモンドは、
信念を持つ勇敢な戦士だったのです

こういうことは
現代の社会でもよくあると思います

周りの人とは
一風変わった考え方を見せ、
足並みを揃えない人物

こういった人は
一様に疎まれ、蔑まれます

しかし、そういう
『信念』を持っている人が
時には素晴らしい活躍を見せることもあります

集団の中に1人だけ
信念に基づいて
周りとは違う
やり方をしようとする者がいても、
それを押さえつけたり
排除しようとせず、
その人の信念を貫ける
環境を作ってあげることにより、
思いがけない働きを見せるかもしれない

それを
『ハクソー・リッジ』という映画が、
デズモンド・T・ドスが教えてくれました

こういう、まぁ言ってしまえば
『変わり者を受け入れる』
ということは、
大人でも非常に難しいです

そういった意味で、
私はこの『ハクソー・リッジ』は
子供達に観せるべき作品だと思いました

しかし、戦争映画であり
ショッキングなシーンも多く、
ましてや日本人が敵側ということで、
例えばもし授業で
先生が生徒に観せたりしたら
間違いなく叩かれるでしょう

でも、私は
もし自分に子供がいたら
観せたいと思いました

戦場に持っていったのは
モルヒネと包帯、
そして信念だけ

そんな変わり者デズモンドから、
道徳的な心を学びとってほしいです
ゆとりん

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