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ハクソー・リッジのバナバナのレビュー・感想・評価

ハクソー・リッジ(2016年製作の映画)
4.0
第二次世界大戦当時のアメリカ軍で、志願して軍隊に入ったにも拘わらず、良心的兵役拒否者として軍を除隊させられそうになったデズモンド・ドスという人の実話。

この人の人柄を紹介する為に、いきなり沖縄戦から始めずに、生い立ちから家族関係、そして軍に入ってから良心的兵役拒否者として正式に軍に在留できる様になるまでを、長い時間を掛けて見せています。

日本では8月14日の時点で「まだ2千万人特攻を出せば、なんとかなる」などと言っていた軍幹部も居た中で、
アメリカでは銃を持つ事を拒否しただけで、わざわざ軍事裁判という手間まで掛けて、除隊させてくれようとするんですね。
これが日本だったら、すぐさま最前線に送られただろうし、それまでずっとリンチされ続ける事でしょう。

本当に、この映画の様に直属の軍曹や上官は優しかったの?と思ってしまいますが、もしそれが映画上のフィクションだったとしても、ドスさんが衛生兵として大活躍したのは事実なので、凄い人が居たものだと感心しました。

エンドロールでドスさんは75人の兵を助けたと出ていましたが、
彼はグァム島やレイテ島でも受勲を受ける程の活躍をしているので、あくまで、このハクソー・リッジで助けた人数が75人だそうです。
(映画を観ていると、「おい、下の奴等も上に上がって手伝ってやれよ」と思いましたが、本当は彼だけでなく、協力してくれる人が居たのかもしれませんが)

戦闘シーンも、実際の白兵戦ってこんな感じなんだろうなと、これまでの戦争映画の中でも群を抜いて生々しく、
日本軍も米軍も多くの将兵がこの様に散っていったのかと思うと空しかったです。

ドスさんはレイテ島に居た時に結核に感染し、沖縄戦でも重傷を負ったのが後を引いて、戦後はずっと体調が宜しくないままだったそうですが、彼は自分の信念をここまで通せる人なのだから、後悔はしなかったのだろうな。
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