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ハクソー・リッジのkateのレビュー・感想・評価

ハクソー・リッジ(2016年製作の映画)
4.8
ハクソー・リッジを鑑賞予定或いは鑑賞済みだけどよく分かんなかったという方は是非浦添市のHPに掲載されている記事を読んで頂きたい。前田高地の重要性をお手軽に把握できます。
http://www.city.urasoe.lg.jp/docs/2017052900033/

凄惨極まる沖縄戦の中で、デズモンド・ドスのとった行動は唯々尊かった。そこに心が揺さぶられる。没個性に徹し、尊厳を捨てることを求める戦争で、ドスはエゴともとれる信念を貫くことによって、結果的に75人もの兵士を助け、その家族の人生をも救った。この結果が英雄として賞賛された理由であろう。

メル・ギブソンの久々の監督業ということでちょっぴり不安はあったが杞憂に過ぎなかった。監督は真摯かつ誠実に前田高地の戦いを描写してくれた。銃弾の飛び交う戦場で命は本当に呆気なく奪われる。そこをちゃんと押さえて日米両陣営の兵士を描いているから余計にドスの行動は尊くもあり、何を見出せばよいのかわからなくなる。

特筆すべきはドスの父役ヒューゴ・ウィービングの演技である。登場シーンの全てが良い。
WW1の退役軍人で現在アル中だけど……という役柄を見事に演じている。個人的にアカデミー賞にノミネートされてほしかった。

一方、日本人視点から観るとなんでこんな戦争しちゃったのかと唯々悲しくなった。ハクソー・リッジのように地理的に有利であっても、時代遅れの三八式歩兵銃+銃剣装備に対してセミオート銃+機関銃装備の強さは米軍撤退時のシーンで発揮されていた。精神力のみで戦ってた日本兵を思うとやるせない。
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