肥えたZOMBIE

ハクソー・リッジの肥えたZOMBIEのネタバレレビュー・内容・結末

ハクソー・リッジ(2016年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

ハクソーリッジ観た。
WW2沖縄戦で75人の命を救った衛生兵デズモンド・ドスの実話を映画化した戦争ドラマ。
ドスは熱心なキリスト教徒であり、聖書の「汝殺すことなかれ」の教えを守ること、そして過去のトラウマから銃を持つことが出来ない、人を殺すことが出来ない良心的兵役拒否者(以下CO)となる。衛生兵ならば銃を持てなくても役に立てると考えたドスは志願をする。

この映画は前半部分(ドスの幼少期から沖縄出征までのお話)と後半部分(沖縄戦)という構成になっています。僕個人としては前半部分のお話が面白かったです。ドスが何故人を殺せないのか、恋愛、部隊配属・訓練・・・がテンポよく描かれています。
特に訓練シーンでは「フルメタル・ジャケット」の如く少しコメディタッチに描きつつ、少しづつシリアスになっていくという展開がグッドでした。
あと、ドスの恋人役(テリーサ・パーマー)がクソべっぴんでした。淡々と進む前半部分を飽きさせない、観客のテンションを維持する効果として、このべっぴんさは不可欠な要素だと感じます。w実にアメリカ映画的ですw

後半部分は、前評判通りの残虐描写の連続。戦争映画(パシフィック、プライベートライアン、ヒューリー)を観てる人には、いつもと変わらない程度の描写です。僕はこの映画が特筆してひどい描写だとは思いません。こんなもんだと思います。ただ見慣れない人には相当な描写です。僕もプライベート・ライアンを初めて観た時は衝撃を受けました。一度は体験すべきことだと思います。
本作は沖縄戦なのに、日本での宣伝に全く「沖縄」というワードが出てこないことに疑問を感じている人が多いようです。しかしこれは正解だったと思います。本作はあくまで「米国兵の1人の英雄」の姿を描いているのであって、「沖縄戦」の全貌/悲惨さを描くものではないからです。彼の活躍を描くための「舞台」として沖縄があるだけです。この作品だけで沖縄決戦の全てを語っているとは到底言えません。
ただ、戦争という行為自体の酷さは感じることが出来ます。残虐描写+編集(ハクソーリッジに登る→戦闘→キャンプに戻り休憩→再びハクソーに戻る)により、ただ観てるだけなのに観客自身も、「え、、またあの戦場に戻るの、、いやだわ。。」というドスの感情を疑似体験できます、この点はすごかった。

久々に骨のある戦争映画を観たって感じです。良作でした。

(個人的な文句)
結局、アメリカ万歳娯楽映画。
牛島中将らしき人の切腹シーンも出ますが、ドスが聖書を落とすシーンと一緒に描写されます。「汝殺すことなかれ」を犯した人の末路として描いているようにも見えます。。日本人だけじゃないやん、、戦争という行為そのものを否定しないと。。あと切腹するの早いです。。
これはしようがないですが、日本人が完全に「敵」として描かれます。ヒーロー物の映画とかでもそうですが、憎き敵が片っ端からやられていくシーンでテンションあがるのと清々する感覚ってあると思うんですが、そういう風な描き方で日本兵が使われている。。ちょっと複雑でした。。

あと、戦艦の砲撃シーンに違和感があります。。詳しくはワカラナイですがなんか違わないか、、この挙動。。
以上御託でした。
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