きよぼん

ハクソー・リッジのきよぼんのレビュー・感想・評価

ハクソー・リッジ(2016年製作の映画)
3.5
デズモンドは衛生兵として入隊するものの、「銃で人を撃たない」と宣言します。人を撃たないどころか、訓練も拒否。訓練どころか銃を触ることにも抵抗します。

映画を観ているときの気持ちを正直に言うとですねえ・・・このあたりでちょっと心が離れかけたんです。軍隊側も戦場で人を撃てって言ってるわけではなく「トレーニングしてくれれば他は免除する」って言ってくれてるわけですしねえ。

軍隊に入隊しておいてそれはちょっとないんじゃないかと。自分の信じてることを貫くのはいいのですが、譲るモノがないっていうのはねえ・・・逆にこのあと上官の言う「銃が撃てないならオマエは除隊しろ。戦争はオレたちがやるから」という、それぞれの考え方を尊重しよう、的なセリフのほうがグッときたりしました。

主人公デスモンドの行動が心に響いてこなかったというのは、その行動動機があまり描かれないという点にもあります。家族との関係などのエピソードはあるのですが、それが銃を持たないことによる軍隊内での壮絶なイジメに耐えうるようなものだとは、自分は思えませんでした。

で、ネットで調べてみると信仰心がポイントみたいですね。映画中では聖書を読むシーンがあるくらいではっきりとは提示されませんが、デズモンドの行動に大きな影響を与えているようです。

自分は「信念」の物語だと思っていたので、「信仰心」となると大分見方が変わります。自分が宗教に疑問を持っているせいか、信念と信仰心は似ているようで違うので・・このあたりは長くなるので別の機会に。

まあ信念であろうと信仰心であろうと、地獄のような戦場をかけずりまわりながら救助活動をするデズモンドの行動は尊く、涙があふれてきます。。

「そんなやつ置いていけ!」という声がかかっても、デズモンドはあきらめず、多くの命を救います。つまりは軍隊の考え方では無理だったことを、彼は自分の考えでたくさんの人を助けたわけです。そうなると違う考えを受け入れる多様性の話でもあるのかなあ、などと考えました。
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