舛方一真

ハクソー・リッジの舛方一真のレビュー・感想・評価

ハクソー・リッジ(2016年製作の映画)
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主人公のデズモンドに感情移入できるかどうかがかなり大きい。少なくともぼくはできなかった。銃に触れたくないのに軍隊には入るという行為を、全然素晴らしいと思えなかった。人を殺すのなんて誰だって嫌なわけで、単純にキツい仕事から逃げているように思える。徴兵を拒否することの方が全然尊いことだと思う。
デズモンドの思想が『人を救いたい』なのか『アメリカ兵を救いたい』なのかで全然話が変わってくる。キリスト教に基づいているなら戦っている人間全員を救おうとするのだろうが。一応日本兵も救っているが、それが狙ってやったものなのか流れで助けたのか、どっちなんだろう。この助けた日本兵がすぐに死んでしまって、ここの結論がぼかされているのはちょっとずるかった。
嫌だったのが、自分は銃を手にしないけど、味方と協力して日本兵と戦っているところだ。ヘルメットを投げて日本兵に誤射させて、潜んでいる場所を暴いて味方に射殺させるのって、間接的に殺害しているのと変わらないだろう。
『シン・レッド・ライン』とか日本とアメリカが戦う映画を意識的に今まで全然観ていなかったから、沖縄で日本兵が殺されるシーンは観ていて辛かった。
デズモンドにだけ全然弾が当たらないのは父親が『マトリックス』のエージェント・スミスだから、避け方を教わってたのかな。
舛方一真

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