KITAYUMASSACRE

ハクソー・リッジのKITAYUMASSACREのレビュー・感想・評価

ハクソー・リッジ(2016年製作の映画)
4.5
メルギブソンの極めて上質な映画演出が堪能できる素晴らしい戦争映画。
後半の血みどろの戦闘シーンのみならず、前半の主人公デズモンドが戦争に行くまでのパートも含め、ベタだが極めて映像主義として撮られた演出の数々は映画のテレビドラマ化が進行する近年の風潮を真っ向から切り裂いた。これこそまさに映画であり、映画以外にはできない演出である。
この映画が一番エモーショナルなのは戦闘シーンが始まり、文字通りの地獄を見せつけられるなか、体がバラバラになっても生き永らえている兵士をデズモンドが救うシーンだろう。戦闘シーンの序盤の凄惨さは戦争映画を越えてホラー映画的ですらあり、メルギブの容赦ない演出によって観客を恐怖のドン底に突き落とす。しかし、その恐怖と絶望を掻い潜り、普通なら怪我の状態が酷すぎて見殺しにされるであろう兵士をデズモンドが必死に助けるその姿は宗教を越えて人々の感動を呼ぶだろう。
しかしなからそれ以降はデズモンドが一人で大勢の兵士を助けたという実際の出来事におそらくアクション映画的なアレンジが加えられて描かれるのだが、うーんもちろん日本兵に見つからないように兵士を助ける下りはアポカリプト的でもちろん面白いのだが、序盤の地獄には見劣りしてしまう。このあたりからメルギブの宗教とかを越えたド変態感が炸裂し出して、特に切腹のシーンは「三島由紀夫かよ!」って突っ込みたくなるほどメルギブの意志が強いヤツアコガレをビシビシと感じた。
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