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ハクソー・リッジのtsuraのレビュー・感想・評価

ハクソー・リッジ(2016年製作の映画)
3.4
メルギブソン久々の一作は強烈な作品だった。

戦争映画は時折、偏向気味とか美化してるとか…そういった声が聞こえてくる。

それは映画を作り込む上で仕方がないことかなと思って見ていた作品もあった。

しかしこれは否、戦勝国サイドの描写とは言えアメリカ万歳になっておらずただただ史実をなるべく忠実に描こうとしている辺りは正当に評価すべきところだろう。そして忠実とは言ったがその戦地での戦闘シーン(救出シーン)は言わずもがな。
観ているだけなのに…死ぬ恐怖すら感じるくらいに観客をどん底へ落とす。

何処にも逃げ場所など無い弾丸の雨降る戦地へ。
人が殺し合う事を正当化するという「戦争」
そんな凄惨な映像以上の事が戦争であると映画というフィルターが鈍器となって平和ボケしている人間の本能(とりわけ日本人は)を呼び起こす様な凄い映画だった。

救いの無い地上世界。
でも70幾年の前に実際に日本で起きたこと。

いつまでも忘れてはならない。
何処の国の映画だろうと関係ない。
戦争映画というフィルターを通してでも戦争の無価値を知れるのなら。


沖縄は"ハクソー・リッジ"で起きた事実をデスモンドという一人の銃を持たない(強い信念)兵士の命を懸けた"人命を救う"闘いなのだが…唯一ストーリーとして前半部分が彼を語るうえで"鍵"なのにどうもドラマの描きこみが淡白というか。
勿論、俳優陣の演技は素晴らしい。
父親役のヒューゴ・ウィーヴィングも久々にアツい演技で見る者の心をグッと掴んで放さないのだが…どうも主人公夫婦の描写然り…メロドラマの様な雰囲気が何処かしら漂っていたのが個人的に乗り切れなかった。
かと言って彼のバックボーンであるここの説明を省くと描きこみも全体的に足らなくなるし…、、、

むむむ…。


矢張りこの手の作品は難しい。
戦争前後で意味合いも変わるだけに。
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