リッキー

ハクソー・リッジのリッキーのネタバレレビュー・内容・結末

ハクソー・リッジ(2016年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

本作品は歴史に残る大激戦となった沖縄戦・前田高地の戦いにおける、奇跡の実話の映画です。
「プライベート・ライアン」を超える衝撃と前評判でしたが、銃撃戦はすさまじいものでした。改めていうべきことではないが、戦争は愚かな行為です。この悲惨な状況を描いたことに、メル・ギブソンのメッセージを感じました。

日本降伏の3ヶ月前には、もはや日本軍に勝利がないことを日米軍とも把握しています。その中、沖縄本島に上陸したアメリカ軍に対し、日本軍に課せられていたのは時間かせぎでした。本土侵攻を1日でも遅らせること。それだけを目的に、兵士たちは命を投げ出し、捨て駒になって戦いました。自分が死ぬときには、アメリカ兵を1人でも多く道連れにして死ぬ。そんな戦い方です。このような日本軍の状況は、作品の中ではいっさい説明されないため、日本人以外の鑑賞者には、ほとんどわからないのではないでしょうか。死を恐れずに突っ込んできて、ゲリラ的な攻撃もするし、汚い手、卑怯な手も使う日本兵は、とにかく不気味で野蛮な民族にしか映りません。

せめてこの当時の日本の状況の説明をテロップだけでもよいから加えていただきたかったです。実際作品中では銃撃戦が盛んにありましたが、日本軍の弾薬はすでにほとんどなかったように思えます。そこで日本軍は地下壕を深く掘り、艦砲や空爆に耐える戦法をとったのです。砲撃に耐えた後には、アメリカの地上軍が前進してきます。

日本軍は敵を一旦通過させてから、その背後や側面を襲います。しかも夜襲です。昼間に真正面から攻撃しては、簡単に全滅します。これが兵力や火力に劣る日本軍にしか出来ない戦い方でした。

この作品の演技面で特に光っていたのは、デズモンドの父親役ヒューゴ・ウィーヴィングです。初めはこの父親を、偏屈で子供にあまり目をかけていない愚父と思いましたが、息子の志願を知ったシーンや、過去の夫婦喧嘩の顛末のシーンでは、完全に覆されました。

メル・ギブソン監督作品には「ブレイブハート」「パッション」「アポカリプト」と一貫してキリスト教的なモチーフが随所に散りばめられていますね。

デズモンド(イエス・キリスト)。
ドロシー(聖母マリア)象徴として不自然な程「青系」の洋服を多く着用しています。
ラストシーンで負傷したデズモンドが担架で空中を運ばれていく様は、伝統的な「キリストの復活」を強く連想しました。


同じ世代の子を持つ親ならば、彼の熱演を心穏やかに見ることなどは出来ないでしょう。