よもぎ

ハクソー・リッジのよもぎのレビュー・感想・評価

ハクソー・リッジ(2016年製作の映画)
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戦争物は普段観ないけれど気になっていた作品。

太平洋戦争時、沖縄本土決戦において75名もの米軍兵士の命を救った実在の衛生兵、デズモンド・ドスの物語。

デズモンドの幼少期~戦場に行くまでの中盤までは正直ちょっと長く感じていた。「人を殺したくないけれど兵士として役に立ちたい」というデズモンドの考えは本人が劇中で言ってる様に変わっていて殆ど理解出来ず、なんなら軍の上官や他の兵士達の側に共感して「人を殺したくないなら何で兵士に志願したし!?人を救いたいなら他でも出来るし…え、除隊も嫌なの!?銃持ちたくないのに!?一体どうしたいんだお前は!?」ってちょっとイラッとしたり…史実を調べて居なかったので沖縄戦の話だということを初めて知って少し観るのしんどくなりそうな予感を感じたりしつつ観ていたけど、そんなモヤッとしていた気持ちを一気に晴らした後半の戦場シーンの迫力。圧巻の一言。

生々しく凄惨に痛々しく呆気なく簡単に次々と人が死んでいく。
洋画の戦争物は割と綺麗めにドラマチックに人死にのシーンを描くイメージを持ってたので、まるで日本の戦争映画を観てるみたいだ…というのが感想。同時に以前観た塚本晋也監督の「野火」の戦場シーンが思い出された。生々しく泥にまみれて惨たらしい、そしてとても呆気ない死に様が連なる地獄の風景。
そしてその惨たらしい戦場の中で「もう一人助けさせて、もう一人…」と神に祈りながら何かに憑かれた様に人を救い続けるデズモンドの鬼気迫る姿に魅入った。

やっぱり日本兵が鬼か悪魔の様な描き方であったり、上官の切腹シーンだとかちょっと引っ掛かる部分はあったけど、この作品の見せ場である戦場シーンの圧倒的な迫力と凄惨さ緊迫感の中にあっては然程気にならない。

そして戦場を乗り越え、偉業を成し遂げた後のデズモンドの姿を観て初めて理解した。
偉業を成し遂げる真の英雄の考えは、多分誰にも理解出来ない。
というか多分誰にも理解出来ない考えを持つ人だからこそ他の人には出来ない事が出来るんだろうなぁ…。