良心的兵役拒否者が、衛生兵として大勢の兵士を救った物語。殺人を肯定する戦争というものと、殺人を否定する個人の良心・信仰との矛盾がテーマだと思う。
主人公がこの矛盾に悩み葛藤するさまをよく描いてはいるが、(主人公が勲章を貰った話しなど)全体のトーンとして主人公を戦争の英雄として扱っており、戦争肯定的であるところが、残念に思えた。むしろ主人公の目を通した戦争批判のトーンを強めたら、作品の評価がもっとあがったのではないか。
アメリカ人の製作したアメリカ映画としては、その辺に限界があるのかもしれない。また監督のメル・ギブソンは筋金入りのカトリック教徒らしいが、戦争そのものは否定しないけれども、個人として信仰は守りたいというのが、監督の目線だったのかもしれない。