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ハクソー・リッジのKEITOのレビュー・感想・評価

ハクソー・リッジ(2016年製作の映画)
4.6
面白すぎる。メル・ギブソンは監督としては『アポカリプト』以来10年ぶり!太平洋戦争の沖縄戦で衛生兵として従軍したデズモンド・T・ドスの実体験を描いた戦争映画です。

約140分という長い尺を使ってデズモンド・ドスの生い立ちと陸軍部隊時代、そして沖縄戦をじっくりと描いていきます。戦争映画にはお決まりの鬼軍曹による新兵訓練はやはり楽しい。ここの個性豊かな兵士たちも面白いですね。特にイヤな奴だったスミティ。後のドスとスミティのやり取りがまた良いんだよなあ…。

そして中盤、仲間の死をきっかけにあれだけ神への信仰心があったドスの心が折れます。彼は神に問いかけます。

「神よ、私にどうしてほしいんですか…?あなたの声が聞こえません…!」

涙を流すドスの後ろから攻撃を受ける仲間たちの声が…。

『助けてくれ!』『死にたくない!』『どうか…神様!』

そして「神よ…分かりました…!」と立ち上がり爆風の中に飛び込んでいくドス…。

ここはもう映画史に残る名シーンでしょう。その後は一人、また一人助けるたび「どうかあと一人だけ私に助けさせて下さい」と問いかけ、最終的に彼は敵の日本兵を含む75人を救助したわけです。銃を手にしなかった彼がついに銃に触る場面や、もやい結びを使う場面も序盤の振りが効いているためグッときますね。

個人的には、ほぼ不満は無い映画です。ただ敢えて言えば冒頭のドスの、片想いのヒロインへの接近速度がおかしくてキモいとこか(笑)ただこれも彼の信念や信仰の強さが分かる描写ですし、青春時代と戦争時の崖の対比などもよく描けています。ストーリーテリングが本当に素晴らしいですね。

『パッション』や『アポカリプト』なども面白いですが、エンタメと作家性の両立という意味ではメルギブ作品で一番だと思いました。アポカリプトから10年空いたので次回作はなるべく早くお願いします!