おとうふ

ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャーのおとうふのレビュー・感想・評価

4.1
サリンジャーの魅力はその謎な部分にあるからしてやはり彼についての映画と言ってもほとんど、謎のままってかんじ。私は10代後半の頃、黄緑色の布製カバーに包んだ「フラニーとズーイ」をかならず懐に忍ばせお守りにしていたか弱き乙女であったが、やはり、かつて私がフラニーに自己投影していたように、ホールデンに自己投影するファンが劇中に出てきたが、そんな人の心の普通なら届かない領域までみずみずしく小説に書き下ろすサリンジャーの魅力というものはこの映画からも見て取れる。ホールデンなんて書かなきゃよかった、と劇中でも言っていたけど、それほど影響力が大きかったんだろう、ジョンレノンの事件もそれを助長させた。
でもこの映画でのサリンジャーが思ったよりも爽やかで驚いた。小説を書くために学校に学びに行くというタイプとも思わなかったし、人並みに恋愛をしている青年だったんですね。瞑想を子供たちに教えるシーンもあのサリンジャーが?とも少し驚いた。奥さんに瞑想しても、人を許せないのね、と言われ素直にそのことばを受け入れる当たりも、あれ、サリンジャーってただのひねくれ者じゃないんだってなりました。
サリンジャーの人柄はまぁどうであれ彼の小説が好きです。
彼の小説の内容的に書いた本人のことはあまり知らなくていいかもですね。
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