半兵衛

終身犯の半兵衛のレビュー・感想・評価

終身犯(1962年製作の映画)
4.0
終身刑を言い渡された男が鳥を通じて人間的感情を取り戻すという話を、ヒューマニズムや人情に流されずにハードボイルドな映像のスタイルを押し通すことでどんな状況にも屈せず、本来なら反省のための場所でもある刑務所であえて人間としての尊厳や感情を貫く不屈の男のドラマと化す。その主人公である囚人をバート・ランカスターが演じることでその屈強さに説得力が出てくる。

時間的に長いし鳥との出会いも序盤から30分たってからとかなりのスローペースで若干退屈になるが、段々と主人公に人間としての尊厳を感じられ姿勢を正して見るようになってくる。そして後半、刑務所での暴動で首謀者に対してランカスターが「生きる」ことの大切さを説く場面に彼のそれまでの生きざまがまざまざと思い出され、彼の信念が浮かび上がり胸をうたれる。

緊張感や不穏さが漂う画面も独特な世界観を構築し、固唾を飲んで見てしまう。ラストの刑務所暴動は光と影の織り成す映像や銃を扱うランカスターといいもはやノワールに。

最後の場面での希望を捨てない主人公の姿に、キャラクターは全く違えど『脱獄広島殺人囚』の松方弘樹がダブってしまった。

合間に出てくるテリー・サヴァラスや鳥たちに主人公同様癒される。
半兵衛

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