CHEBUNBUN

奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガールのCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

4.5
【タイトルに惑わされるな!トラウマ・ファムファタールものの傑作だ!】
Twitterでネタにされまくっている「奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール」。東京国際映画祭シーズンにつき観る予定にはなかったが、映画仲間に「ブンブンの感想聞きたい」とリクエストあったので観てきました。

タイトルとは裏腹にとんでもなく辛くシリアスを極めた怪作であったことは、観る前の私には想像すること不可能であった。

時は雑誌編集部署。奥田民生を崇拝する若手編集者は、打ち合わせ先で出会った女にゾッコン。気合で漢を磨きデートを重ねるが、どうもおかしい。実は彼女は出会う男すべて狂わせるガールだったという内容。映画史始まって様々な魔性の女が爆誕した。しかし、水原希子のこの魔性の女は恐ろしい程怖い。

どんな男も、例えネコ声、飾りに飾られた偽りの素顔で魅了していることを見抜いている男ですら、彼女の完全マーケティングされた演出にメロメロ惚れ込んでしまうだろう。

アメとムチを使い分け、恐ろしい程強烈なムチで男を叩き、人生を滅茶苦茶にしていく出会う男すべて狂わせるガールにはまいった。しかも、観ているうちに、ブンブンの知り合いで全く同じタイプの狂わせるガールがいることに気づき「あぁ付き合わなくて良かった」と胸を撫で下ろした程の恐怖を感じたのだ。

さて、本作は2つのベクトルに分解することができる。

まず1つ目は、本作が女性版「アルフィー」だということ。「アルフィー」とは、本気で付き合う気がなく女遊びばかりするゲス男の物語。ど畜生男のやらしいライフスタイルが延々と描かれるが、そこには本気の恋愛の面倒臭さ、男が心の底で感じる異性に対する嫌悪感を見事に反映している作品だった。

本作はまさに、男目線で描かれているものの「アルフィー」の女性版だ。男の面倒臭さ、男がソクバッキーになる過程を徹底分析して描いている。これは面白い。

そして2つ目は、一人のビジネスマンが憧れの男になるまでの成長譚ということ。
17:30定時帰るボーイ、遅刻男と距離置きたいボーイであるブンブンは生存不可能な雑誌編集の現場。

納期を守らないライター、無茶を言うクライアント、徹夜徹夜の職場、様々な人の板挟みになりながら、恋にもがきながらイニシエーションを乗り越えていく奥田民生になりたいボーイに熱くなった。

正直、奥田民生だれそれ?あれっSEALDsの人?と思っていたブンブン(ファンの方すみません)ですが、大満足な作品でした。

えっ原作はもっとえぐいの?
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