このレビューはネタバレを含みます
自然体で生きることに憧れる男が、気分屋の美女に恋して良いように翻弄され、ズルズルに情けなくなっていく姿を描く話。
水原希子演じるあかりっていうヒロインがそれはもう薄っぺらなビッチで、どうして男連中がこんな女にこぞって狂わされるのか疑問やった。
新井容疑者はともかく、こちとら妻夫木聡やで?他いくらでも女当たれるやん。
あかりが見た目華やかな美女なのは認めるけど、そこまで入れ込む程の女かって。アッパッパーギャルですやん。
「相手がそのとき求めてる私になりたい」みたいなそれっぽい理屈吐いてたけど、三股かけちゃう貞操観念ユルユルな自分を必死に弁護してるようにしか聞こえなかった。
しかもこの女、よく分からん地雷いっぱいあって、しょっちゅう機嫌悪くなっては怒りだす。
こんなメンタルピリピリの女とどうして一緒にいたいと思えるのか?ぼこぼこのガタガタのジェンガみたいな精神状態の女やで?
一緒にいて楽しくないって絶対。
誰かを愛するのに一番必要なものって、相手へのリスペクトやと思う。この人のここは尊敬できる!ってのが一個はないと愛情は続かない。
でもこのあかりというキャラには、尊敬を抱けるような箇所ってのが無い。信念みたいなものがない。
たしかに「相手が求める自分になる」ってのは決して悪いことじゃない。ひとつの信念だと思うし、意義深い目標やと思う。突き詰めれば尊敬に値するとも思う。
だけどあかりはその言葉に実態が伴ってなくて、だから言ってることが薄っぺらに聞こえてしまう。自分本位で八方美人、それ以上の何物でもない。
この話の筋でヒロインが薄っぺらい、って致命傷やと思う。
男を惹き付けて止まない女っていうなら、見た目以外に何か特別なところを見せないと。
でも劇中でそういう魅力を描き出せてないから、もう、
「あかりってさ、基本天然だけど、ときどき鋭いこと言うよね」
とか役者にセリフで言わせてもうてる。セリフで特別なオンナ感を説明しちゃってる。大して鋭いことも言うてへんのに。
だからやな。男連中も結局彼女に対して「かわいい!会いたい!ヤりたい!」しか言わないのは。
「愛してもらいたい!」とは思わない女なんやわ。そういうことや。なのに魔性の女みたいに描かれてて、ちぐはぐしてる。
でもまあ、この映画は男の成長譚でもあるっぽいし、こういう薄っぺらい女に引っ掛かる若さからの脱出、的な意味もあるんかも知れん。
彼女のキャラクターにぶっとい芯が一本通ってたら、この映画はもっと説得力あったし、面白かったと思う。
自由奔放なだけに見えた彼女が実は隠し持っていたある種の崇高さに、まわりの薄っぺらな男どもは誰も気づけない、って話なら。
水原希子さん自体は演技も自然で、うわぁいそういそう!邪魔くさそう!って感じの女をきっちり見せてたけど。でもそれってこの映画の中での役柄として魅力的では無かった。
損な役回りやったな。