期待せずに観始めたのに、気づいたら涙でおんじの姿が見られない。
スノーグローブの中身みたいなスイスの山々、草を食む山羊たち。閉鎖的だけど美しく洗練されたフランクフルトの邸宅。丁寧な舞台演出は観ていて飽きることが無く、またキャストの選び方も絶妙でした。
ただ、ロッテンマイヤーさんの美貌と若さは想定外すぎて慣れるのが大変。
ハイジも思ったより華奢で繊細で、アニメの図太いイメージとは少し違うかな。演技力に関しては脱帽モノでしたが。
一番魅入ったのはクララ役のIsabelle Ottmann。ミレイやウォーターハウスの絵に出てくる姫君のような 今にも消え入りそうな透明感が、孤独で鬱ぎ込むクララにぴったり。
不器用で愛くるしいペーター、屋敷に仕える温かでユーモラスな人々、どの役者も丁寧で柔らかな演技が本当に印象に残る。
若干のストーリー詰め込みダイジェスト感が気になった以外は文句無し。原作ファンとしても 実写として観たいものを見せてもらった感じ。
ラクレットチーズと黒パン、暖炉の前で頬張りたくなりました。
