Inagaquilala

リベンジ・リストのInagaquilalaのレビュー・感想・評価

リベンジ・リスト(2016年製作の映画)
3.8
邦題と作品紹介から察すると、妻を殺された男の復讐劇かと思いきや、この作品の面白さは、実は主人公のスタンリー(ジョン・トラボルタ)を助け、その目的を完遂させるかつての同僚デニス(クリストファー・メローニ)の存在にある。主人公の危機を、タイミングよく現れてサポートするデニスの裏の活躍が、この作品に命を吹き込んでいる。

カリフォルニアでの仕事を決めて、オハイオ州コロンバスに帰ってきた主人公のスタンリー。妻のアビーとともに駐車場で車に乗り込もうとするところを強盗に襲われ、アビーは殺されてしまう。スタンリーが目撃した犯人はすぐに捕まるが、なぜか警察はすぐに釈放してしまう。かつて特殊工作員だったスタンリーは、自らの手での復讐を誓い、かつての相棒であるデニスを訪ねる。

デニスを演じるクリストファー・マローニが素晴らしい役どころだ。近作では「マローダーズ 襲撃者たち」で冷静沈着なFBI捜査官を演じていたのが印象的だったが、この作品でも復讐に燃える主人公の脇で、いつもクールに対処する素晴らしいサポート役を演じている。このふたりのコンビぶりは息もぴったり合っており、作品に快活な面白さを加味しており、ある意味バディムービーと言ってもよいかもしれない。

物語は二転三転、次々と現れる黒幕の黒幕に、スタンリーとデニスは迫っていくが、このスピード感も悪くない。91分という比較的コンパクトな上映時間のなかで、これだけの展開を小気味よく処理していく監督のチャック・ラッセルの手腕にも注目したい。

原題は「I Am Wrath」。「私は怒り」、「私は憤怒」とでも訳せるだろうが、これが「リベンジ・リスト」とは、めずらしく日本の配給会社もおとなしく構えたものだ。とにかく、スタンリーとデニス、ふたりの活躍がこの作品の見どころであることには変わりはない。
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