見た夢が現実になってしまう男の物語。もといヘアメイクアーティストと衣裳デザイナー殺しの映画。
主人公オアは自分が夢を見る度に世界が変わっていることに気付くが、その変化は本人しか分からない。
最初は白と黒のモノトーンだった人々の服が次第に色を帯び、鮮やかになっていく様や、髪型、部屋の内装、職業の変化など、とにかく目まぐるしい変化の連続が続く。どの世界でも徹底して人工的な素材風の服というコンセプトは良かったな。
こういった視覚的な変化を映像として楽しめる作品ではあるが、ストーリーの方はというとよく分からないというのが本音である。ジェームズ・カーンやデヴィッド・ストラザーン、シーラ・マッカーシーといったキャストたちの演技は大変素晴らしいのだが…。
また、クラゲが浮遊するカットがやたらと出てくるのが印象的だが、マニーが言うようにどんな世界でもクラゲのように身をまかせておけということを強調しているのだろうか。
どんな世界であろうとも本当に大切な人は自分のすぐ側にいるものなのだ。灯台もと暗し。あまりに近すぎて見えないだけで。
始まりと終わりを繰り返し、夢と現実を行き来しながら、私たちは生きている。