ノラネコの呑んで観るシネマ

PARKS パークスのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

PARKS パークス(2016年製作の映画)
2.9
井之頭公園100周年記念映画だそうだ。
50年前に撮られた写真と、オープンリールテープに残された未完の歌から、橋本愛、染谷将太、永野芽郁の3人の若者たちが60年代の恋人たちの歌を完成させようとする。
ユニークな作品だと思うのだけど、私にはどうにも入れなかった。
おそらくはロメール、あるいは大林宣彦的なことがやりたいのだろうけど、作劇の軸とすべき人物とエピソードが決定的に間違っている。
あの曲の歌詞は、橋本愛のキャラクターからは絶対に出てこない。
なぜなら、3人の中で本当に過去へ思いを馳せているのは、永野芽郁だけだからだ。
橋本愛と染谷将太は巻き込まれキャラで、歌作りの動機も大学の単位のため、ネットで目立ちたいため。
この映画で一番面白いのは、永野芽郁がテープの主である亡き父たちと、彼女が書いている小説の中で邂逅を繰り返すところで、歌の続きもここから導き出されるべきだった。
本来、主人公になりにくいポジションにいる橋本愛を軸にしたことで、映画全体の印象がボケてしまった感は否めない。
あと、半分メタ構造のファンタジーだから、気に留めない人もいるだろうが、細部が荒すぎる。
実年齢17歳の永野芽郁の父の青春時代が60年代って、いったい何歳の時の子なのか気になって仕方なかった。
そもそも、なぜ60年代なのだろう。
食中毒は、ほとんどの場合食べて直ぐ症状は出ないし、都合よく人が死にすぎるのも気になる。
肝心の井之頭公園も、あまり必然性が無かった。
メタ構造にするならもっと徹底すべきで、狙いは面白かったが、組み立てはあまり成功していない。
映像的な気持ちの良さは、なかなか魅力的なんだけど。