さいごん

PARKS パークスのさいごんのネタバレレビュー・内容・結末

PARKS パークス(2016年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

これはちょっと凄いもの見たぞって感じ。
まず何が凄いって井の頭公園の100歳を祝う映画としても青春映画、更には音楽映画としても高い水準にある。
また、出演者や絵面でメジャーさや娯楽性を確保しつつ、その実は一筋縄ではいかないところも憎らしい。
あとはリアリティ一辺倒ではなく大小のフィクションの交え方もセンスが良いし映画作品としての出来の底上げにもなっている。

音楽描写はどれも良いけど1番最初の弾き語りのところは特筆して素晴らしい。
何気ないシーンだけど、手拍子もチューニングもカッティングも音程も全てが少しずつズレているのがたまらないほど音楽の楽しさや美しさに繋がっている。
メインの曲に関しても聞き流していた何気ないあのメロディーが素晴らしい音楽へと昇華するのがたまらない。
しかもそれがしっかりと何気ない日常を輝かせる意味合いを含んでいると来たらそりゃお手上げですわ。


最後にハルの正体、あんまり明確な言語に当てはめるのも違う気がするので抽象的に言えば「未来」の象徴だと思う。
少なくとも最後の電車のシーンでハルが画面の左から右に流れて行くのは未来に進んで行く者という表現でしょう。
本の表紙を閉じるシーンが他の場面に比べて明らかに近代的なのもそういうことかな、と。
そもそも記念プロジェクトの映画で、これだけ意識的に時間を描いているのに未来を見据えた視点が無い訳はないと思う。
具体的に未来人とかタイムトラベラーって言って言えない事はないのかもしれないけど、この映画の中では象徴っていう解釈に留めた方が自分はしっくり来るかな。
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