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ヨーゼフ・フリッツル: オーストリアの鬼畜のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

4.1
2015年に公開された映画「ルーム」は、見知らぬ男に監禁された女性が、そこで産んだ子供と命懸けで脱出し、社会に適応していく苦闘を描いた映画。
この映画の元になった事件が、ある。それが、「ヨーゼフ・フリッツル事件」。
オーストラリアのウィーン郊外に住むヨーゼフ・フリッツルが、実の娘エリザベートを監禁凌辱し、7人の子供を産ませていたという事件。フリッツルの父は浮気者で妻に支配的で、ヨーゼフも父の影響を受け、妻に給料を渡さず生活費のために働くことも許さず、妻が口答えしようとすると暴力を振るった。結婚しても異常に旺盛な性欲を抑え切れないヨーゼフは、強姦罪で服役した。娘エリザベートに対し支配的で友人と遊ぶことも許さないヨーゼフに反抗して、エリザベートは何度も家出をした。フリッツルは、表向きの理由は「夜遊びに耽るエリザベートを管理するため」、本音は「近親相姦という禁断の果実を味わうため」、薬で眠らせ地下室に監禁した。フリッツルは、エリザベートに5人の子供を産ませて、その内3人の子供はエリザベートに偽の置き手紙を書かせて、養子としてヨーゼフ夫妻と暮らし、エリザベートを監禁した直後に捜索願いを出し、妻や他の家族や友人を決して地下室に近づけなかった。だが、エリザベートの子供が発病し、ヨーゼフが子供を病院に運び込んだ時、エリザベートが子供の服に忍ばせた「助けて」と書いたメモを見た医師が、エリザベートを連れてくるよう強く要請したことから、事件が発覚した。
犯罪者の精神鑑定する精神科医師の証言によると、「近親相姦する親は、家族を自分のものだと思っているから、何をしても良いと思っている。」という歪んだ利己主義がある。
歪んだ支配欲と暴力が家族に向いた時の残酷さがリアルに伝わってくる犯罪ドキュメンタリー映画。
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