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サンガイレ、17才の夏。のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

サンガイレ、17才の夏。(2015年製作の映画)
4.5
[ある夏の淡い日々にあった儚い恋について] 90点

2015年のカイエ誌トップ10の9位に選ばれたリトアニア映画。監督はエミリー・ドゥケンヌ映画を撮っていたアランテ・カヴァイテ。バルト三国の映画は最近色々拾い集めていて、エストニアならライナル・サルネ『ノベンバー』とGrigori Kromanov『The Last Relic』(https://note.mu/knightofodessa/n/n5a228f76bd0c )、リトアニアならジョナス・メカスとシャルナス・バルタスで、後はラトビアを残すのみって感じ。そろそろバルタスも全部揃いそうなんで絨毯爆撃するか。

飛行機のパイロットになりたいSangailėが曲芸飛行を見学するシーンで幕を開ける。目眩持ちで自信のない彼女はコックピットに入ることを拒む。そこで出会うのがウェイトレスをしながらデザイン学校を目指すAustėである。互いに恋愛感情を抱いた二人によるオフビートで瑞々しい恋愛劇が淡い色彩の美しい映像と軽妙な音楽に乗せて展開する。物語の一応の主軸はSangailėがAustėによって恐怖を克服し、コックピットに乗れるようになるまでの話である。演出まで淡いので展開はヌルいっちゃヌルいが許容範囲内。

着る/脱ぐための服、舐めるための傷、出会いのための飛行機という要素の一つ一つが恋愛に結び付けられているのも、どっちが先かは知らんが変態的でよろしい。でも、Sangailėに自傷癖があるのに意味不明な理由付けがなされていたが、あれは正直いらないと思う。

ほとんどがセリフもなく展開し、セリフがあっても画面から想像できるようなことしか言ってない。日本映画じゃ絶対作れないなと思った次第である。
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