ゆず

チア☆ダン 女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話のゆずのレビュー・感想・評価

3.7
一言でいえば目の保養。眼精疲労に良く効く。うら若きお嬢さんたちの青春模様。たまには目を喜ばせてやるのも良いのではないでしょうか。

広瀬すず演じる主人公ひかりは、チームのムードメーカー的な存在でとても思いやりに溢れた女の子。みんなと仲良く楽しみながら部活をしようとするのだが、一方で、勝利への欲求がいまいち足りない節がある。誰かと競争してでも上に行くという気持ちがないし、落ち込んでいる子を見ると慰めずにはいられない。福井弁もあって、ナチュラルでいてとても優しい子に見える。良い母親になるだろうな、とか思ってしまうほど。

しかし、そんなひかりの存在は、全米制覇を目指す顧問にとっては邪魔でしかない。天海祐希演じるスパルタ顧問は、勝ち負けより居心地の良い人間関係を重視するような部活動を「仲良し地獄」と言って嫌う。ムードメーカーのひかりが作り出す「勝てなくても頑張ったよね」というムードを忌み嫌う。この映画は優しさの広瀬すずと厳しさの天海祐希が対立する構図になっている。

ところが、その対立構造が意外とあっさりしていて、あまり目立ってない気がする。スパルタ地獄か仲良し地獄かでいえば、この映画はやはりスパルタ主義なのだが、そこの所をあまりハッキリとは語らない。その語らなさが、まるでスパルタが当たり前の事実であるかのようで少しモヤモヤしてしまう。部活をテキトーにやってきた私としては、この対立はもっとしっかりと戦ってほしかった。最終的に天海祐希が勝つとしてもだ。ひかりの優しさは素晴らしい個性だ。だが最初から最後までスパルタの一方的な勝ちでは、その個性の否定になってしまうんじゃないか。映画は、ひかりの優しさを明確に否定はしていないが、向き合ってもいないのではないかと少し思った。
ゆず

ゆず