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チア☆ダン 女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話のtoncoのレビュー・感想・評価

3.7
集団ダンス系×熱血指導者の構図は、やっぱり「フラガール」が素晴らし過ぎるのもあって、本作の予告を見てストーリー展開が薄そう(聞いたことある鉄板イベントの連続で想像でき過ぎる)と興味なかったのですが、無料配信始まってたので鑑賞。

思ってたより、じーんときました。
正直、主人公(広瀬すず)のキャラとか考え方には共感できませんでしたが、笑顔が苦手なヒップホップ女子(山崎紘菜)とか、真面目すぎちゃって不器用可愛い部長(中条あやみ)とかは思わず応援したくなったし、何より先生…!!
先生の心情に激しくシンクロしちゃう私は、もう歳を取ったってことですね。
きっと、自分が10代だったら、チームのみんなの方に共感してただろうし、クソばばあって言ってくれる広瀬すずにスカッとしてたのかも。

チームワークは大事。心が折れないようにフォローするのもすごく大事。
でも、ほんとヒカリ(広瀬すず)みたいに、フォロー入れ過ぎちゃみんなの苦労台無しになっちゃう。先生は心を鬼にして、彼女たちの欲を引き出してるわけだから。

でも同時に思ったのは、私も含めて、きっと今の20代、30代は、あんなに先生にたてつくことすらできないから、思ったことをぶつけられる人、受け止めてくれる先生、という関係ってすごく大事だなと思う。「先生は、間違ってる!!」って言えるって大事なことで、それだけその子が、どうやったらうまくいくのか、一生懸命考えてるってことだもんね。

特に最近は、「欲を持たない」若い人がすごく増えてる、というのは社会のどの世界でもよく言われていることだと思うし、そのあたりをテーマにしてるのかなとも思いました。

そう考えると、今の指導者って、テクニック教えるより、そっちのメンタル面を引き出すことの方がより求められてるし、ひと昔前より人を導くってずっと難しいことなのかもしれないなぁ。

「教師のやってることは、何年も経ってからようやく理解される」ってのはほんとまさにそうだし、プレッシャー半端ない仕事だと思う。

と、涙を誘うシーンも考えさせられる台詞もたくさんあったものの、
映画としては、やっぱりテンプレの連続感は否めず、部活モノにありがちなイベント放り込みました的な感じが・・それを入れるなら、チアのウンチクとか審査基準的な話とか、もっと入れてよりスポ根仕立てにして欲しかったな〜。波乱の采配も、もっと戦略的な指導者の意図と、教え子の開眼が見え隠れする見せ方のが好み。
あの見せ方じゃ、ただの鬼畜な先生に・・

そして優勝後のシーンは、とってつけた感がスゴイ・・ちょっと展開と芝居に無理があるので(特に広瀬すずのターム)、声なしエンドロール演出に潔く切り替えた方が良かったような。
いいシーンもたくさんあるのに、ところどころ脚本の雑さが目立ったのが残念。真剣佑の設定とか、いくらなんでも適当過ぎて逆に笑えた(^^;)

ラストのダンスシーンは焦らされただけあって見応えあったし、俳優陣の涙は本物だったように感じた。衣装かわいい。
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