あなぐらむ

ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリーのあなぐらむのレビュー・感想・評価

1.9
物語自体については「スター・ウォーズ」本線で主人公(ルークね)とヒロイン(レイア)が結ばれる王道の物語にしなかった事についての、それを書いたライター、ローレンス・カスダンなりの贖罪みたいなもんがこの「ハン・ソロ」なんかもしれんなと思う。誰もが最初の恋、永遠の人と、想う相手と結ばれるわけではない、という歳行ってからのアイロニーというか。まぁろくでもない人生だけどなハン・ソロ。子供に殺されるって最悪じゃん。

映画単体として観れば、無名だった「彼」が「ハン・ソロ」という名前を獲得していくことを考えるととてもしみじみとくる話だし、やはりここには孤児としてのアメリカ人(孤立した精神の、という意味で)の心象風景を、大宇宙を舞台にオリジナルがベースにおいた「西部劇」の味わいをしっかりと残して(大列車強盗!)、ランドやらお歴々とどうやって知り合っていくのかも見られるという事で、流石の名匠ロン・ハワードがリテイクしただけの事はある。

そう、リテイクである。
本作は元々フィル・ロードとクリストファー・ミラーの監督コンビが当初製作に携わりながら、途中でレイオフされてロン・ハワードとカスダン息子がどうにか形にした、もう何度書いてるか分からんがキャスリーン・ケネディという無能なボスの気まぐれの果てに出て来た産物である。エミリア・クラークってほんと作品に恵まれないよね(俺は「ターミネーター:新起動」好きだけどね)。

若い頃のハンを演じたオールデン・エアエンライクは中々いい感じで、よくオーディションで見つけたなと思うが後が続かん感じだね。こう、だめんずならぬ悪女に囚われてしまった優男を巧く演じていた。
ウディ・ハレルソンが味わいのある芝居を見せるし、しかしこれどこからどこまでを信じていいのか、殆ど撮り直しとは言うけど昔ならアラン・スミシーフィルムでもおかしくない。事情を知らなければ面白いというかもしれんけど、どっか雑に見えるのは確かだ。

「最後のジェダイ」のあとがこれっていうのは、本当にルーカス・フィルムは眼の前の物語、神話を丁寧に扱おうとは絶対にしてなかったと思う。映画ってのはプロダクションのものでは勿論あろうが、監督の「クリエィティビティ」を尊重するなら、監督権を与えた側も責任を取らないと、こういう現場サイドの不幸はずっと繰り返されるだろう。ルーカスなんか言えよお前。
こういうのはお客が許していてはいけないのだ。しっかりとペイしないという意思表示が必要なんである。